本記事は、中島 健寿氏の著書『年上との話し方で人生は変わる』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

上司、顧客、メンターに使える具体的な話し方
どれだけ言葉遣いを意識していても、「誰に」「どんな場面で」使うかによって、伝わり方はまったく違ってくる。
ここでは、信頼を深めるために大切な3つの関係である上司、顧客、メンターに対して、それぞれの立場や状況に応じた話し方の具体例を紹介していく。
1.【上司】の立場を尊重する話し方
上司との信頼関係を築くうえで最も大切なのは、「任せても安心」「報告してくれて助かる」と思ってもらうこと。
◎使えるフレーズ例
「この件について、現時点での進捗をご報告しておきます」
「先ほどのアドバイスすぐに試してみました。おかげで整理がつきました」
「〇〇さんのおかげで、見落としていた視点に気づけました」
ここでのポイントは、「相談のタイミング」と「感謝の言葉」。頼る前に状況を整理し、上司の時間を奪わない配慮を示す。また、結果が出たときは、自分だけの成果にせず、上司に光を返すことが好印象につながる。
2.【顧客】の信頼を得る話し方
顧客に対しては、「誠実さ」と「共感力」の両立がカギになる。
◎使えるフレーズ例
「お話を伺って、私自身もすごく共感しました」
「ご期待に応えられるよう、全力で準備させていただきます」
「いただいたご意見、社内でもしっかりとご共有させていただきます」
大切なのは、「営業トーク」ではなく、共に並走するパートナーとしての言葉を選ぶこと。
また、「それって〇〇ということでしょうか?」と一歩踏み込んで理解を深めようとする姿勢は、顧客からの信頼残高を大きく積み上げていく。
この「それって」というフレーズは、会話を広げるだけでなく、話を深掘りしたいときに使える魔法の一言。相手の意図を汲み取り、会話の解像度を上げる力を持っている。
3.【メンター】への信頼を伝える話し方
メンターは、答えをくれる存在ではなく、気づきを引き出してくれる存在だ。
◎使えるフレーズ例
「あの時の一言が、今でも自分の判断軸になっています」
「少しずつですが、教えていただいたことが形になってきました」
「まだ結果は出ていないですが、続けてみようと思えているのは、〇〇さんのおかげです」
ポイントは、感謝の精度。
「ありがとうございました」だけで終わらせず、「何が自分に響いたのか」「どこに変化があったのか」まで伝えると、メンターとの絆が深まり、「この人の成長をもっと見届けたい」と感じてもらえるようになる。
それぞれの立場によって、伝えるべき内容も、響かせ方も変わってくる。
けれど共通しているのは、「相手の立場に立って言葉を選んでいるか」という一点のみ。その姿勢があるだけで、たとえ言葉が完璧でなくても、相手の心にはちゃんと届いていく。
年上が好む感謝の伝え方にはコツがある
年上の方との信頼関係を築くうえで、「感謝」をどう伝えるかは、想像以上に重要なポイントになる。
ただ一言、「ありがとうございます」と口にするだけでは、年上の心にはなかなか届かない。彼らが求めているのは、感謝の気持ちそのものというよりも、その伝え方に込められた誠実さや姿勢なのだ。
年上に好かれる人の感謝には、いくつかの共通点がある。
①何に対して感謝しているのかを具体的に伝える
「ありがとうございます」だけでは弱い。
「◯◯を教えていただいたおかげで〜できました」
「昨日いただいたアドバイス、今日実践してみたら成果につながりました」
というように、感謝の背景をセットにして伝えることが相手に響く鍵となる。
年上は、自分の行動が相手の役に立ったと実感できたときにこそ、心から嬉しさを感じるものだ。
②「言葉」だけでなく、「行動」で感謝を伝える
口先だけの感謝ではなく、相手の助言や支援に対して、どんな行動で返したかを見せることが何よりの恩返しになる。たとえば、
- 言われたことをすぐに実行してみせる
- 成果が出たあとに、報告を兼ねて感謝を伝える
- 小さな成功に、きちんと相手の存在を紐づけて語る
こうした「行動による感謝」は、年上の方にとって最も信頼の積み上がる瞬間となる。
③「第三者を通して伝わる感謝」が一番強い
直接の「ありがとうございます」も大切だが、別の誰かを介して伝わる感謝の言葉は、相手の心に強く残る。
「〇〇さんが、いつも感謝してるって言ってましたよ」
「△△さんが、あの時すごく助かったと話してました」
こういった間接的に伝わる感謝は、「本心で言っている」という信憑性を増し、印象に深く残る。
結局のところ、感謝とは、受け取る側が「ああ、この人は本当に大切に思ってくれているな」と感じられるかどうかにある。その感覚を持ってもらえる発言や行動ができる人は、どんな場面でも応援されていく。

わずか3年で世界10カ国以上で展開し、1万人以上の組織を作る。
ビジネスの傍ら、現在は、これまでの経験をもとに「信頼され、引き上げてもらえる人になるためのコミュニケーション術」を軸にセミナーや講演を全国で展開。
また、10歳で野球を始め、中学時代には専用グラウンドもなくわずか5人しかいないチームを2年で日本一に導く活躍を見せる。15歳で日本代表として国際大会に出場し、アジア大会準優勝。白鷗大学足利高校時代には同校初の選抜甲子園出場を果たす。
大学時代には明治神宮野球大会で人生2度目の日本一を経験。それぞれの世代で常に学生野球の頂点を極めてきた。 プライベートでは5歳、3歳、0歳の三児の父。
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