本記事は、水野 俊哉氏の著書『世界の一流が読んでいるビジネス書100冊』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

ビジネス書
(画像=New Africa / stock.adobe.com)

増補リニューアル版
人生を変える80対20の法則

『世界の一流が読んでいるビジネス書100冊』より引用
著者=リチャード・コッチ訳=仁平和夫/高遠裕子
発売●2018年8月出版元●CEメディアハウス
ビジネスの世界で有名な「80対20の法則」について、その重要性をビジネス、プライベートを問わず、様々なシチュエーションで論じた1冊。「80対20の法則」とは「成果の80%は20%の努力によって生じている」というもので、労力と成果のアウトプットの不均衡を単純明快に論じている。著者のリチャード・コッチはボストン・コンサルティング・グループ出身で現在は起業家、コンサルタントとして活躍している。世界24カ国で翻訳されたベストセラー

「80対20の法則」について

1897年、イタリアの経済学者ヴィルフレッド・パレートは、「所得や資産が一部の人に集中していること」を発見し、この富の分布の不均衡は「パレートの法則」や「80vs20の法則」と呼ばれている。

著者によると、ビジネスの世界でこの80対20の法則が働いている例は枚挙に暇がなく、80対20の法則は[投入、原因、努力のわずかな部分が、産出、結果、報酬の大きな部分をもたらすという法則である。たとえば、あなたが成し遂げる仕事の80%は、費やした時間の20%から生まれる。つまり、費やした時間の80%は、わずか20%の成果しか生まない]と指摘している。

さらにビジネスだけではなく、[社会を見ると、犯罪の80%を20%の犯罪者が占めている。交通事故の80%を20%のドライバーが占め、離婚件数の80%を20%の人たちが占め、教育上の資格の80%を20%の人たちが占めている]このことにより、「80対20の法則」をうまく活かせれば、「何もかも驚くほど改善する」のである。

「80対20の法則」実践ビジネス編

第3章から第8章までは、「80対20の法則」のビジネスについての応用が説かれている。

たとえば、「第6章顧客を選ぶ」には、以下のようなことが指摘されている。

[企業なら正しい市場と顧客に照準を合わせなければならず、「正しい市場や顧客」とは通常、現在の市場や顧客のごく一部である。経験則から言えば、それは20%に過ぎない。また、ほとんどの企業において、成績上位20%の営業マンが、売り上げの80%を占める]

よく「選択と集中」の重要性が説かれるが、労力のインプットと成果というアウトプットの計算式が不均衡である以上、経営資源をすべての商品や従業員に等しく投入するのではなく、「重要な20%」を選択して、集中的に投下すべし、ということを著者は繰り返し説いている。

これはマーケティングや販売に限らず、生産管理などにも応用可能である。

「80対20の法則」実践・生活編

第9章からは、時間管理や人脈、資産運用など、個人の生活の中での「80対20の法則」の応用について述べている。

たとえば、

[「価値ある仕事の80%は、使う時間の20%で達成される。逆に言えば、使う時間の80%は、価値ある仕事の20%しか達成できない」「幸福の80%は、人生の20%で経験する。人生の80%は、幸福の20%でしか経験できない」(第10章時間革命)]

などだ。

これは経験則ではあるが、「80対20の法則」はネットワーク思考のベキ分布とも一致しており、興味深い。

水野所感
世の中が便利になり、生産性が高まると同時に現代人は常に忙しくて時間に追われるようになってきている。 「大事なことに集中したいのに時間がない」「仕事の成果を上げたいのに、やるべきことがいっぱいありすぎて何から著手していいかわからない」。 そんな人は今やるべき重要なことを10個紙に書き、上位2つに専念してはどうだろう。 もちろん仕事だけでなく家庭や恋愛などにも応用可能である。最も重要な20%に時間や労力を集中できることで人生は変わるのだ。

お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方
知的人生設計入門

『世界の一流が読んでいるビジネス書100冊』より引用
著者=橘玲
発売●2002年11月出版元●幻冬舎
マネー系の作家として独自の活動を続ける橋玲氏の代表作。タイトルにある「黄金の羽根」とは、経済活動に生じる「制度の歪み」のことであり、本書では国の制度や株式市場、不動産売買などの現場で生じている様々な「黄金の羽根」が紹介されている。はじめて読む方はこうした制度の歪みが存在すること自体に「目から鱗が落ちる」思いがするだろう。本書は日本という国家の経済のルールを説いた本であり、国家からの脱出法にまで話は進んでいく。

世界にたった1つしかないお金持ちの方程式

世の中には多くのマネー本が溢れており、様々な財テク術が指南されている。

しかし、橘氏は当書で、人類の歴史に貨幣が登場して以来、金持ちになる方法には3つしかなく、なおかつ、その方法はたった1行の数式で表すことができるとしている。

その世界に1つしかない金持ちの方程式が、
資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り) である。

この方程式から、金持ちになるには、①収入を増やす、②支出を減らす、③運用利回りを上げる、の3つの方法しかないことがわかる。

たとえていうならダイエットに成功するのに必要なことは、①消費カロリーを増やす、②摂取カロリーを減らす、③運動量を増やす、の3つの方法しかないのと同じである。

あなたのマネーについての「常識」は間違っている

極めてラディカルというか、身も蓋もない真実をロジカルに説くのが橘氏のスタンス。

当書においてもその特徴は存分に発揮されていて「投資」「経済」「不動産」「生命保険」「税金」などについての「不都合な真実」を次々に公開してくれている。

投資しないのが最高の投資である

1989年から2002年までに日本の地価は半額になり、東証株価指数も3分の1以下に下落している。

適正株価は誰にもわからない

実は財務諸表による分析でもチャート分析でも将来の株価は予測できない。

住宅ローンは株式の信用取引きと同じである

家の購入額の20%の頭金でローンを組むのは利益も損失も5倍の計算となる。

生命保険は損をすることに意味がある

保険は宝くじの一種で、大半の人は外れくじを引く形になるが、当選=死なので、損をすることに意味がある。

などだ。この場合の「不都合」とは国家や金融機関など体制側にとってのことなので、我々読者にとっては、「知らないと損をする話」ばかりである。

PT(パーマネントトラベラー)=永遠の旅行者という概念

当書の執筆の動機を橘氏は[本書の提案を一言で述べれば、システムの負の側(ダークサイド)を歩くなということです。しかしこの提案は厳しいものかもしれません。サラリーマンは日本の社会システムの中で負の側を歩くことを運命づけられた存在だからです]と述べている。

巨額の借金を抱えた日本はいずれ大増税かインフレ、あるいはその両方に見舞われる可能性がある。その際の脱出方法として、著者は「PT(納税義務のない居住者となること)」という概念を紹介している。

2002年発行の本だが、驚くほど内容に色あせたところがない。つまり本質を書いている本ということになるだろう。

水野所感
ピーターの法則は、階層が固定化された組織においては無敵の正しさを誇る法則である。学校、病院、会社、軍隊その他、組織と名がつくところではピーターの法則や必然から逃れるのは困難だ。ここから逃れるには、フリーランスになるしかない。しかし、最近は外資系金融機関のように、トップ総取りの「トーナメント制」も増えており、この場合、文字通り有能な人間だけが出世して巨額の報酬を受け取ることになる。一体、どちらがいいのか、難しいところだ。

仕事は楽しいかね?[新版]

『世界の一流が読んでいるビジネス書100冊』より引用
著者=デイル・ドーテン訳=野津智子
発売●2025年5月出版元●英知出版
5月だというのに、ひどい雪が吹き荒れていたある夜、私はシカゴからの帰り道で空港のターミナルビルで26時間も足留めを食うことになった。この日、私は妻と娘と夕食をとるために、最後の会合をさぼり、早めの飛行機に乗ったのに、空港で何千人という不機嫌なビジネスマンや騒がしい家族連れに取り囲まれていた。そんなある夜、風変りな老人が私に話しかけてきた。「仕事は楽しいかね?」と。

主人公の私は35歳のサラリーマン

出張帰りの空港で主人公は、変わり者の老人に声をかけられる。しかし、彼こそが発明家、起業家として巨万の富を得て、大勢の成功した実業家や政治家もアドバイスを求めるマックス・エルモアだった。

主人公の私は、35歳のサラリーマン。仕事はそこそこ。同僚はいい奴ばかり。

しかし、単調な日々に退屈と同時に不安も覚えている。人生を、札束から1枚また1枚と紙幣を抜き取るように無為に過ごしているような毎日だ。

実は以前、友人3人とお金を出し合い、コピーサービスのお店を始め、失敗したこともある。その結果、貯金を使い果たし、2人の友人も、夢もなくしたのだった。

試してみることに失敗はない

そんな主人公に対して、マックスは紙に成功のために必要な戦略を書き出すように言った。

主人公は自己啓発書を山ほど読んでいたので、「目的地がなければ到達することはできない」、「ネガティブな考え方を捨てて、成功やパワーやエネルギーといったポジティブな姿勢を持つ」、「他人の成功から学び、自分の成功を生み出す」といった感銘を受けた本に書いてあった言葉を並べた。

マックスは「これでいいかね?」と念を押すと、ペンを取り、紙に大きく×をつけた。そして主人公が書いた言葉の上にデカデカとこう書いた。

「試してみることに失敗はない」

ヒラメキを大事にして、運をつかむ

マックスは失敗に終わった主人公の起業についても、「きみたちの事業は、誠してみた結果、失敗に終わったんじゃない。試すこと自体が欠落していたんだ」と言う。

マックスの言葉は、少なくとも一般的な自己啓発書に書かれている「もっともらしい教え」とは正反対に感じるものすらある。

多くの人は、目標を設定すると自己管理ができているような気がする。そして、目標の達成には戦略が必要であり、論理的な思考が重要だと思い込んでいる。

マックスはこのことについても「人生はそんなに扱いやすいものじゃない」、「たいていの人は、マンネリ化した生活から抜け出すために目標を設定する。だけど、今日の目標は明日のマンネリなんだよ」と一笑に付す。

人生は規則正しいものではなく、規則かられたところでいろんな教訓を与え てくれる。規則正しさだけを心掛けるあまり、遊び心がなくなってしまうと「試す」ことを忘れてしまうというのだ。

ヒラメキというものは、実はいろんなところに転がっている。問題はそれをアイデアとして活かせるかどうかである。

多くの革新的だといわれるアイデアの数々――当書でも紹介されている、コカ・コーラやリーバイス――などは、ヒラメキから運をつかんだ好例だ。

「幸運」をつかみとるには「試す」ことの回数を増やしてみよう。

水野所感
この本にはチャンスを掴むためのチャレンジの重要性が説かれている。ジョン・ベンバートンは、自分の薬局の店員がこっそりシロップ性の頭痛薬を水で薄めて飲んでいるのを見て、コカ・コーラのアイデアを生み出した。リーバイ・ストラウスは、カリフォルニアのゴールドラッシュ時、唯一、売れ残ったテント用の帆布で、労働者用の丈夫なズボンを仕立てることを偶然、思いついた。成功の理由は後からならなんでも説明できる。問題は、今目の前にあるチャンスに気づけるかどうかなのだ。
『世界の一流が読んでいるビジネス書100冊』より引用
水野 俊哉
1973年生まれ。作家、出版プロデューサー、経営コンサルタント、富裕層専門コンサルタント。ベンチャー起業家、経営コンサルタントとして数多くのベンチャー企業経営に関わりながら、世界中の成功本やビジネス書を読破。近年は富裕層の思考法やライフスタイル、成功法則を広めるべく執筆活動をしている。現在は自ら立ち上げた出版社2社や文化人プロダクション、飲食業のオーナー業の傍ら、執筆やコンサルティング、出版プロデュース業を営んでいる。国内外問わず富裕層の実態に詳しく、富裕層を相手に単にビジネスにとどまらない、個人の真に豊かな人生をみすえたコンサルティング・プロデュースには定評がある。

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『世界の一流が読んでいるビジネス書100冊』
  1. 世界にたった1つしかないお金持ちの方程式とは
  2. 「無能」にならないためにはどうすべきか?
  3. 普通の人が大化けする「シン富裕層」とは
  4. 投資のカギ? ネットキャッシュ比率とは
  5. きみのお金は誰のため? お金の3つの謎とは
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