本記事は、野呂 エイシロウ氏の著書『「話がつまらない」をなくす技術』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

「話がつまらない」をなくす技術
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

会話が続く人は、自分の話をする
会話が続かない人は、会社の話をする

ビジネスにおいてよくありがちな、話し方のまずい例があります。自分の話ではなく、会社の話ばかりをするパターンです。
弊社へいしゃでは、私どもは、手前どもは…… そんな話を聞かされると、正直うんざりします。会社なんて、しょせんうつわです。目の前にいるあなた自身がどんな人間なのか、○○株式会社にいるあなたはどんな実績や力を持ち、今後どのような方向に進もうとしているのか、それを聞かないことには、何も話しようがありません。

「当社は○○プロジェクトを展開していまして……」(展開しているのは御社の経営者であって、あなた自身ではないよね? あなたはそのなかで何をしているの?)
「最近では○○がヒットしていまして……」(それ、別の方の手柄ですよね? あなた自身は関係ないのではありませんか?)
「手前どもは1900年の創業でして……」(そんな昔のこと、今と何の関係があるの? そもそもあなたも僕も、そのとき生まれてないでしょ!)

もちろん、そういう思いは口には出さず、心にとどめておきます。でも本当は、声を大にして言いたい。
「会社のことはどうでもいい! あなたは『誰』ですか?」と。
ビジネスにおいて、まず紹介しなければいけないのは、何よりも自分自身です。ピンとこなければ、法則のつもりで、「会って最初に会社の話をするな!」と覚えてください。会社の話は、関係ができてからすれば十分です。
例外的に、会っていきなり会社の話をしてもいい人がいます。それは経営者です。
とりわけ創業経営者は会社と一体です。ソフトバンクは、ある意味、孫正義さんそのものでしょう。

野球場でビールを売れますか?

野球場でビールを売っている売り子さんとお客さんとの関係をイメージしてみてください。彼女たちは、自分からビールを買ってもらうために、実はさまざまな工夫をこらしています。
かわいい目印をつけたり、歩く速度を変えてみたり、四方に目を配ってアイコンタクトをしてみたり。なかにはトークがうまく、いつも買ってくれる馴染みのお客さんをつかんでいる人もいます。自分を上手に売り込んでいるのです。お客さんのほうも、売り子さんの顔を見に、友達まで連れて球場にやってくるようになります。

では、その売り子さんが、自分からビールを買ってくれた初めてのお客さんに、キリンビールの由来や、ヱビスビールの美味しさの秘密をさも自分のことのように語ったとしたら、はたして購買意欲を刺激されるでしょうか?
いきなり会社を語り始める行為とは、そのくらい痛々しいことなのです。

ワシづかみポイント

聞きたいのは「あなた自身」のこと
売り子はビール会社を語ったりはしない!


「話がつまらない」をなくす技術
(画像=「話がつまらない」をなくす技術)
「話がつまらない」をなくす技術
野呂 エイシロウ(のろ・えいしろう)
1967年愛知県生まれ。愛知工業大学卒。放送作家・戦略的PRコンサルタント。
学生時代に「現役の学生」を武器に電機メーカー、広告代理店との会議に参加。学生向け家電企画の立案、宣伝、PRに携わる。その後、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家デビュー。『ザ!鉄腕!DASH!!』『奇跡体験!アンビリバボー』『ズームイン!!SUPER』などに携わり、テレビ局独特の“笑い”にあふれた会議で、話し方や雑談力、提案力を鍛えられる。放送作家としての「番組をおもしろくするネタづくりのノウハウ」をいかし、30歳の時から“戦略的PRコンサルタント"としての仕事をスタート。
企業の商品やサービスを一般の人に「おもしろそう!」「欲しい!」と思ってもらうような独自の戦略立案を行っている。
クライアントには、「SoftBank」「ライフネット生命」「GROUPON」「Expedia」「ギルト・グループ」「hulu」「Folli Follie」「ビズリーチ」「ルクサ」をはじめ、金融機関、自動車会社、アパレルブランド、飲食店など、国内外の企業250社以上があり、“かげの仕掛人”として活躍している。笑える講演も人気を呼んでいるが、引き受けるのは月に1度まで。

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