本記事は、西 剛志氏の著書『脳科学×最新研究が解き明かす64のテクニック 「伝える」が「伝わる」に変わるひみつ』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
説明していて、相手が一歩引いている気がするときは?
信頼「感」を大切にする
「信頼できそう」な人の言葉はスッと頭に入ってくる
伝え方NG
台本やマニュアルを丸暗記してとうとうと話す
伝え方OK
まずは、相手の希望や考えをしっかりと聞く
「口がうまい」だけでは、相手の心に響かない
以前、こんなことがありました。ある家電ショップにコーヒーメーカーを探しに行ったときのことです。店員さんにコーヒーメーカーの機種ごとの特徴を聞きました。
するとその店員さんは、とても流暢なセールストークで、あるコーヒーメーカーを推薦してきたのです。そのコーヒーメーカーは明らかに「その人が売りたいであろう」コーヒーメーカーなんだと思います。トーク内容も練られていて、口がうまいとはこういうことをいうのかというほどでした。
でも、その説明がまったく心に響かなかったんです。
「この人はこのコーヒーメーカーを売りたいんだな」ということがバレバレだったからです。ただ「口がうまい」だけでは、自分の話をしっかり聞いてもらうことはできないのです。
人は「情報の正しさ」ではなく「信頼感」で判断している
実は、これは接客の話に限ったことではありません。消費行動の研究でも、同じことがわかっています。
Frenzen & Davis(1990)の研究では、人が商品を買うとき、商品の性能や価格よりも、売り手との関係性や信頼感のほうが、意思決定に強く影響するケースがあることが示されています。
つまり人は、「この商品がどれだけすぐれているか」よりも、「この人の話なら聞いてもいいか」で判断しているのです。
どれだけ説明が上手でも、「売りたい気持ち」が先に立ってしまうと、脳は無意識に距離を取ります。逆に、「自分を理解しようとしてくれている」と感じた瞬間、相手の言葉はスッと頭に入ってくるのです。
「信頼感」はすぐにつくれる
信頼が大切といいましたが、信頼を育むのはなかなか骨が折れる…… と思われたかもしれません。ただ、ここで私が大切と言いたいのは「信頼」ではなく「信頼感」です。この「感」がつくだけで、意味は大きく異なります。
- 信頼→ 頼りになると信じること
- 信頼感→ 頼りになりそうと感じること
脳にとってはこの「信頼できそう」というイメージが大切なのです。信頼をつくるのには時間がかかりますが、信頼感は、「あること」をするだけで、一瞬でつくれます。
それは「相手の話をちゃんと聞く」こと。たとえば、さきほどの家電ショップの店員さんが、
「お客様はどういうコーヒーがお好きなんですか?」
「どういうときに、コーヒーを飲まれるのですか?」
と少しでも聞いてくれたら、「あぁ、この店員さんは自分の話をわかろうとしてくれている」と感じ、店員さんの説明を聞く気になったかもしれません。このとき、「前の発言を復唱する」を実践するとさらに信頼感はアップします。
こちらの話を聞いてほしいと思ったら、まずは、相手の話をしっかり聞くことが大切なのです。
まとめ
「口がうまい」と「信頼感がある」は別物。人は信頼感がある人の話を聞きたい
著作は『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教える 「やりたいこと」の見つけ方』(PHP研究所)、『あなたの世界をガラリと変える 認知バイアスの教科書』(SBクリエイティブ)、『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム)、『脳科学的に正しい! 子どもの非認知能力を育てる17の習慣』(あさ出版)、など、海外を含めて脳に関する書籍は累計発行部数45万部を突破。2025年に台湾義守大学日本研究センター顧問に就任。
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