久光製薬、1962年以来の株式上場を廃止

なかでも久光製薬の案件はMBOとして、2024年の大正製薬ホールディングス(総額約7070億円)に次ぐ過去2番目の規模となった。

目先の株価や業績にとらわれず、中長期の視点で成長戦略を進めるとして同社創業家出身の中冨一栄社長の資産管理会社がMBOの一環としてTOBを実施。久光製薬は5月に、東証プライムへの上場を廃止し、1962年から続く上場企業の看板を下ろした。

また、医療事務受託を中心に介護、保育事業を手がけるソラストは2度目のMBOに取り組んだ。買収総額は905億円で、アジア系投資ファンドのMBKパートナーズと連携して実施した。

ソラストは2012年に東証2部上場を廃止し、その後、2016年に東証1部(現東証プライム)に再上場したが、事業環境の変化を踏まえて株式市場からの退出を再度決断した。

旧村上系が大株主のサンケイRE、不成立に

上期中、唯一、TOB不成立に終わったのは上場REIT(不動産投資信託)のサンケイリアルエステート(RE)。不動産業のトーセイが1月早々にTOBを開始し、5月半ばまで期間を6度延長したが、投資口の応募が買付予定数の下限に満たなかった。

サンケイREはフジ・メディア・ホールディングス傘下のサンケイビルがスポンサーの投資法人。フジ・メディアと対立していた旧村上ファンド系投資会社が突如、サンケイREの大株主として登場したことで、TOBの成否が注目されていた。

敵対的TOBとなったのはフィッシング・アウトドア用品を手がけるティムコに対する案件。中国投資会社Capital Nuts(厦门果投管理有限公司)の系列法人が経営への関与を目的にTOBに始め、これにティムコが反対を表明した。

Capital Nuts側は約45%の株式の買い付けに成功し、TOB自体は成立した(ティムコの東証スタンダードへの上場は維持)。

3年連続の年間100件突破へ

TOBは2023年を境に明らかな増加に転じ、2024年に年間100件ちょうどと2007年(104件)以来17年ぶりに100件の大台に乗せた。2025年はこれまで最多の年間136件まで伸ばした。足元の2026年もよほどの失速がない限り、3年連続の100件突破が見込まれる情勢にある。

中核事業の強化や事業ポートフォリオの見直しを目的する買収の活発化に加え、物言う株主の存在感が増す中、経営の自由度を確保するため投資ファンドと組んで戦略的に非公開化する動きが加速し、件数を押し上げる形となっている。

M&A Online

(画像=「M&A Online」より引用)

※金額は取引総額。TOBに応募しなかった株式の買い取り、自己株取得を含む場合がある

文:M&A Online