世界的にAI(人工知能)・半導体関連株の売りが続いた7月。日経平均株価も変動の大きさに振り回された。歴史的な円安に警戒感が広がる中、日本株をめぐるアクティビスト(物言う株主)の動向はどうだったのか。
ヤマダHD・三菱製紙・日本化学工業を5%超保有
目を引いたのはやはり旧村上ファンド系だった。5%を超える株式の新規保有が3銘柄あった。家電量販最大手のヤマダホールディングス(HD)、製紙中堅の三菱製紙、工業薬品製造の日本化学工業がそれだ。
旧村上系の複数ある投資会社のうち、シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)は7月21日、ヤマダHD株式を5.10%、三菱製紙株式を5.03%取得したとする大量保有報告書をそれぞれ関東財務局に提出した。日本化学工業については別の投資会社のC&I Holdings(同)が提出者だった。
保有目的はいずれも「株主価値向上に資する、資本政策及びコーポレートガバナンスなどに関する助言・提案」としている。
提案内容として、①資本政策の変更(増配、自己株式取得)②株主価値向上に資することのない資産・事業の譲渡③MBO(経営陣による買収)を含めた株式の非公開化などをあげた。ヤマダHD、日本化学工業の両社には業界再編についての提案も加えた。
旧村上系は保有目的について従来、「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」との記述にとどめていたが、提案内容を例示して具体性を持たせた形だ。
旧村上系は、ヤマダHD株式を5.10%新規保有した後、買い増して保有割合を6.26%に高めたとする変更報告書を提出。ヤマダHD株式が割安だと判断した場合、今後3カ月以内に5%超を買い増す可能性があるとしている。
ヤマダHDは6月初め、同業5位のエディオンと2027年10月に経営統合すると発表した。両社合計の売上高は約2兆5000億円と、業界2番手を争う1兆円規模のビックカメラ、ノジマを倍以上引き離す断トツの巨大家電量販グループが誕生する見通しだ。
家電量販では2012年にヤマダ電機(現ヤマダHD)がベスト電器、ビックカメラがコジマをそれぞれ買収して以来の大型再編となる。
旧村上系、製紙業界への攻勢を強める
旧村上系は7月中、三菱製紙株式を新たに5%超保有したほか、製紙2位である日本製紙の株式を追加取得して保有割合を9.77%に高めた。
このところ旧村上系が攻勢を強めているのが製紙業界だ。日本製紙株式の5%超の新規保有を報告したのは6月のこと。今回新規保有した三菱製紙の親会社は製紙最大手の王子ホールディングスだが、その王子HD株式については昨年1月に5%超の新規保有が判明(同年4月時点で4.91%保有)している。
さらに旧村上系の別の投資会社(南青山不動産)が段ボール最大手、レンゴーの株式6.06%を保有(6月時点)する。製紙業界の再編をめぐるプレッシャーも高まりつつある。
香港投資ファンドのオールド・ピーク・グループは、決済サービス大手のデジタルガレージ株式を5%超新規取得した。保有目的を「長期投資並びに株主価値の向上・保全のために、重要提案行為などを行うことがある」とした。
デジタルガレージは情報サイト「食べログ」「価格.COM」などを運営するカカクコムの筆頭株主で、約20%を出資する。
カカクコムをめぐってはスウェーデン投資ファンドEQTによるTOB(株式公開買い付け)がデジタルガレージなどの賛同を得て5月半ばから進行中だが、これに対抗してLINEヤフーがEQT側を上回る好条件でカカクコム買収を提案し、争奪戦の様相を呈する。