本記事は、沢渡 あまね氏の著書『定時で成果 残業ゼロでも目標を達成するチームづくりの教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の中から一部を抜粋・編集しています。

定時で成果 残業ゼロでも目標を達成するチームづくりの教科書
(画像=Trickster/stock.adobe.com)

成果と変化を発信する

新規性の高い未知の仕事、慣れないテーマ、あるいは顧客からの距離が遠い管理間接業務など(すぐの)成果を実感しにくい仕事こそ、成果だけではなく変化にも注目し発信していきたいです。さもないと、メンバーがその活動や仕事に対するモチベーションが続かなかったり、周りからも一方的に「それ、意味があるの?」など心無い言葉を浴びせられて無きものにされたりすることがあるからです。
成果はわかりやすく、とくに管理職が意識しなくても報告・共有されたり吹聴されたりもします。
「あの人、1億円の契約とったらしいよ」
「年間3千万円、前年比30%のコスト削減を達成しました」
「今日は10件の顧客に連絡を取り、4件のアポイントを取りました」
このように。

ところが、成果と違い、変化は誰かが意識して言葉にして発信していかないとそもそも認識されにくい。
変化の例は以下の通りです。

  • メンバーの意識の変化
  • 周りの人たち(顧客、取引先など)の行動の変化

たとえば、あなたのチームのメンバーの誰かが新たに学んだ会議の運営手法を定例会議で試してみたとします。その結果、いつも意見を発さない人が発言するシーンがあった。これは変化です。
「意見を出しやすい雰囲気になってきたかも。いいですね」
管理職やリーダーのこのような変化を称賛するひとことがあれば、メンバーは「この手法はよいものなのだ。もっと続けてみよう」と思えるかもしれません。そのやりとりを聞いていた周りの人たちも「新しいやり方を試してみることは、いいことなんだ」という気持ちになるでしょう。
このようにして、たとえ成果につながらない行動や所作であっても、それがもたらす変化を言葉にして発信することで効力感は高まり、メンバーが続けるモチベーションが育まれるのです。管理職は成果だけではなく、変化も言語化して発信していきましょう。

成果主義の色が強すぎる組織は、変化すなわちプロセスに無関心・無頓着。それが、組織やチームの雰囲気やコンディションを悪くしていないでしょうか。小さな改善やチャレンジの積み重ねの芽を摘み、長い目で見た成果をないがしろにしてしまっていないでしょうか。残業削減に資する新たなチャレンジがそこから生まれたり、適切に評価されるならもっとがんばってみよう、と効率のいいやり方を試しはじめたりするといったソフト面での影響もありうるのです。管理職は変化にも敏感になり、前向けに意味づけしましょう。
そうして得られた成果と変化は、発信もしていきたいです。成果や変化を発信する先は、次の2つがあります。

❶ 内部発信
チームの中:部署の中、社内など中の人たちに対する発信。

❷ 外部発信
チームの外:社外、社会など外の人たちに対する発信。

前者をインターナルコミュニケーション、後者をエクスターナルコミュニケーションと表現することがあります。

内部発信の手段は、チームの定例会、グループチャットやメール、イントラネットのサイト、部内報、社内報、その他社内イベントでの発表などがあげられます。外部発信の手段は、インターネットのサイト、SNS、社外のフォーラムやイベントの出演、雑誌の記事、書籍などがあげられます。

発信により当事者が自分たちの取り組みや頑張りに対する意味を認識できるのはもちろん、受け手(たとえば他の部の社員)からのフィードバックや反応などの受信を通じて自分たちの活動が認知された喜び、前向きなコメントを受けての自信や確信が得られます。

定時で成果 残業ゼロでも目標を達成するチームづくりの教科書
(画像=定時で成果 残業ゼロでも目標を達成するチームづくりの教科書)

管理職自らが発信するのもよいですが、メンバーに任せていくのも一つです。自らの取り組みや成果・変化を、自分たちで言葉にして発信する。その体験そのものがメンバーの仕事に対する「自分ごと化」「主体性」を育む効果もあります。
インターナルコミュニケーションは拙書『「推される部署」になろう』(インプレス)で事例とともに詳しく解説しています。よろしければ参考にしてみてください。

発信しないものごとは、存在しないのと同義。それではいつまでたっても、そのものごとに対する認知も高まらず、取り組むモチベーションも醸成されません。
正しく発信する文化も、組織やチームに育てていきましょう。

行動を促す一言

「変化」を見つけて発信しているか?

定時で成果 残業ゼロでも目標を達成するチームづくりの教科書
沢渡 あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問(組織開発&ワークスタイル変革)。あまねキャリア株式会社代表取締役/一般社団法人ダム際ワーキング協会代表。プロティアン・キャリア協会アンバサダー。磐田市政策アドバイザー。磐田市“学び×共創“アンバサダー。『越境学習の聖地・浜松』『あいしずHR』『読書ワーケーション』主宰。
大手自動車会社、NTTデータなどを経て現職。500以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。主な著書は『ブリリアント・ジャーク静かにチームを壊す人たち』(三笠書房)、『組織の体質を現場から変える100の方法』(ダイヤモンド社)、『新時代を生き抜く越境思考』『EXジャーニー』『バリューサイクル・マネジメント』『職場の問題地図』(いずれも技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング推進者。

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