本記事は、沢渡 あまね氏の著書『定時で成果 残業ゼロでも目標を達成するチームづくりの教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の中から一部を抜粋・編集しています。

定時で成果 残業ゼロでも目標を達成するチームづくりの教科書
(画像=Elnur/stock.adobe.com)

決める

管理職の仕事は決めることであるといっても過言ではありません。
とはいえ、何でもかんでも管理職が決めていたら、意思決定の渋滞が起こってしまう。管理職の決定が常に適切とも限らず、誤った判断をしてしまうかもしれない。さらには、メンバーが意思決定をする習慣も能力もいつまでたっても身につかない。これはチームと組織の将来を勘案しても健全な状態とはいえません。

しかしながら、本書のテーマは、無駄な長時間労働・残業の削減です。そのためには業務効率化が不可欠であり、まずは、いまの非効率な現状を「打破」しなければなりません。そのためには、管理職が果敢に「決めて」いく所作が肝心要です。
そこから、徐々にメンバーに意思決定を委ねる領域を(育成機会も設けながら)増やしていく。その段階的アプローチで、各々が意思決定をしていけるチームに進化していきましょう。
まず管理職が決めていきたいのは次の4つです。

❶ やめることを決める
やめる習慣がない職場はたくさんあります。
プレイヤーの多くは、本来力を入れなくてもいい仕事であっても、それが仕事である以上、悪気なく時間をかけすぎてしまう。だからこそ、「そこまで時間をかけなくてもいい」「やらなくてもいい」を管理職がまず率先して示すのです。
そうして「やめてもいい」「やめる発想をもってもいい」体験と風土を小さく醸成しましょう。

❷ 集中することを決める
たとえば大きなトラブルが発生しているときなどは、「いまは通常業務の手をとめて、全員このトラブル対応に集中してください」など、いまこの瞬間に集中してほしいことを管理職は率先してチームに示しましょう。

平時であっても、今年度のチームの重点課題、対応を優先すべき顧客、率先して学んでほしいテーマ、など優先すること、集中してほしいことを定めて周知します。
その際、管理職の恣意(気まぐれ)や感情論に左右されないよう、会社や部署やチームのビジョン・ミッション・バリューや、中長期または単年度の事業計画や重点テーマなどと照らしあわせ判断していきましょう。そのやり方を見せ、意味づけすることで、やがてメンバーも自ら仕事やテーマの優先度を判断できるようにもなっていくでしょう。

❸ 役割を決める
ギャップ然り、未知の仕事然り、役割を決めなければ誰も埋めようと/取り組もうとしません。
すでにメンバーが自律的に協力し行動する文化ができあがっていれば管理職の働きかけは不要ですが、ここではそうではない前提で話を進めます。
まずは管理職が率先して誰に何を任せるか、期待役割を示しましょう。そこから、メンバーたちが自律的に対話をして役割を決め合っていく習慣・能力・文化を醸成していきます。

❹ 次のテーマを決める
業務改善や効率化がうまく進まない職場の特徴の一つに、「次のテーマ」の不在があげられます。

  • 効率化してしまったら、自分の仕事が減ってしまうのではないか?
  • 作業時間を短縮して手持無沙汰になったが最後、余計な仕事を振られてしまうのではないか?
  • 慣れたいまの作業で、就業時間を稼ぎたい

このような心理が働いて、実は改善余地があるのにあえて改善しなかったり、いまの仕事にゆっくり丁寧に時間をかけたりする。そのリアルも存在します。そうしたインサイト(隠れた深層心理)も念頭に置き、管理職は、チームまたはメンバー個々に対して「次のテーマ」を示しましょう。

  • その仕事を効率化した先に、どのような仕事や役割を任せたいのか(新たな期待役割)
  • 業務改善により生まれた余白で、新たにどのようなテーマに向き合いたいのか

できれば、メンバーひとり一人と「どんなことにチャレンジしてみたい」「こんなことをやってみたい」を対話しながら決めていけたら理想です。
もちろん、余白をすべて次のテーマで埋めるのではなく、休憩や休息にあてるのも大事です。

「この仕事が一段落したら、リフレッシュ休暇を皆で交代で取りましょう」
このような夢を設定していくのも、メンバーに対する大事な動機づけです(ドリーム駆動)。常に走り続けていたら疲れてしまうさ、にんげんだもの。

行動を促す一言

どこでつまずいているか、何がボトルネックになっているのか、言葉にしてみよう

定時で成果 残業ゼロでも目標を達成するチームづくりの教科書
沢渡 あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問(組織開発&ワークスタイル変革)。あまねキャリア株式会社代表取締役/一般社団法人ダム際ワーキング協会代表。プロティアン・キャリア協会アンバサダー。磐田市政策アドバイザー。磐田市“学び×共創“アンバサダー。『越境学習の聖地・浜松』『あいしずHR』『読書ワーケーション』主宰。
大手自動車会社、NTTデータなどを経て現職。500以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。主な著書は『ブリリアント・ジャーク静かにチームを壊す人たち』(三笠書房)、『組織の体質を現場から変える100の方法』(ダイヤモンド社)、『新時代を生き抜く越境思考』『EXジャーニー』『バリューサイクル・マネジメント』『職場の問題地図』(いずれも技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング推進者。

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