この記事は2026年10月16日にSBI証券で公開された「主力AI・半導体株乱高下の裏で注目したい好決算銘柄」を一部編集し、転載したものです。
目次
主力AI・半導体株乱高下の裏で注目したい好決算銘柄
10/6 (火)に一時70,798円まで上昇した日経平均株価ですが、その後は反落し、10/15 (木) には一時65,000円割れ水準まで下落しました。主要半導体株で構成されるフィラデルフィア半導体株指数が10/7 (水) ~10/14 (水) に6営業日続落し、東京株式市場でも主力AI・半導体株の多くが値下がりしたことが響きました。
この間、世界的なAI開発競争の行く末を危惧する声や、中国企業のDRAM開発による競争激化を懸念する見方が出て、株価下落に拍車をかけました。ただ、主要AI・半導体株の業績を懸念する声は今のところは少数派のように見受けられます。メモリ不足は2027年頃までは続くとの見方は依然多いようです。10月下旬以降、多くのAI・半導体株が2026年7~9月期の決算発表を実施予定です。決算発表で企業の好業績を確認し、米国の中間選挙という重要日程を通過し、株高につながるというシナリオに期待したいところです。
もっとも、東証には当然のことながら、主力AI・半導体株だけが上場しているわけではありません。また、決算月は「3月」だけではありません。事実、9月下旬以降10月中旬頃までは、2月、5月、8月、11月決算企業の2026年6~8月期決算発表が行われています。10/8 (木) にはセブン&アイ・ホールディングス (3382) 、ファーストリテイリング (9983) 等主力企業の一角が決算発表を終えています。
今回の「日本株投資戦略」では、2月、5月、8月、11月決算企業の2026年6~8月期決算発表に注目しました。3月決算企業等の決算発表シーズンと比べると、スポットの当たり方は地味に感じられますが、好決算を背景に物色されている銘柄も散見されます。例えば、10/15 (木)の東京株式市場では、前日10/14(水)に2026年6~8月期の決算発表を行った良品計画 (7453) が上場来高値更新の動きをみせています。3月決算企業等の「決算トレーディング」にベットする投資家も多いと思いますが、決算発表済みの銘柄の中から好業績銘柄をチェックし、投資対象候補として押さえておくことも重要であると考えられます。
★スクリーニング条件
(1)東証プライム市場上場企業
(2)東京証券取引所が10/7に公表したTOPIX構成銘柄 (2026/10/30時点)
(3)決算期末が2月、5月、8月、11月のいずれか
(4)10/13 (火)までに2026年6~8月期の決算を発表済み
(5)2026年6~8月期の純利益が前年同期比10%超増益
(6)予想EPSを公表するアナリストが2名以上
(7)来期市場予想純利益 (Bloombergコンセンサス) が今期市場予想純利益に対し増益予想
(8)今期会社予想業績が2026年6~8月期決算発表の際に下方修正されていない
(9)取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く(空売り規制銘柄は除きません)
掲載銘柄は上記条件をすべて満たしています。掲載の順番は2026年6~8月期純増益率の大きい順です。
一部掲載銘柄を解説!
大阪有機化学工業 (4187)~半導体材料で高シェア。またも今期業績予想を上方修正
◎ArFレジスト用モノマーは世界シェア70%以上
1941年に創業された東証プライム市場上場の化学メーカーです。「特殊アクリル酸エステルのリーディングカンパニーとして、グローバル市場に価値を提供する」を経営ビジョンに掲げ、特殊アクリル酸エステルの多品種少量生産を得意とするB to Bメーカーとして事業を展開しています。
事業セグメントは電子材料・化成品・機能化学品の3つで構成され、2025年11月期の売上高は362億円でした。中でも半導体製造のフォトリソグラフィー工程(回路形成工程)に使われるArFレジスト用原料は世界シェア70%以上(2026/02/04・会社説明資料)を誇り、世界トップシェア品目となっています。ディスプレイ用レジスト材、ヘアケア製品原料、自動車塗料原料等も手がけ、韓国・中国・米国(Visnex Chemicals Corporation)に海外拠点を持ち、グローバル展開を強化しています。
◎半導体向けが好調、またも今期業績・配当予想を上方修正
2026年11月期第3四半期累計(2025年12月~2026年8月)決算(10/9発表)は、売上高322億9,300万円(前年同期比21.0%増)、営業利益75億7,800万円(同63.6%増)と増収増益でした。化成品・電子材料・機能化学品の全セグメントで増収増益となりました。稼ぎ頭の電子材料事業はAI関連の半導体需要拡大を背景に、主力のArFレジスト用原料が好調に推移し、最先端EUV(極端紫外線)レジスト用原料も大幅に増加して全体を牽引しました。
決算発表と同時に、同社は2026年11月期・通期業績予想を上方修正しました。売上高425億円(7月予想比+35億円・前期比17.2%増)、営業利益93億円(同+18億円・前期比50.3%増)に引き上げています。年間配当予想は1株当たり93円(従来予想86円)へ増額修正されました。
株価は9月に4,000円割れ水準まで売られていましたが、決算発表を経て足元は反発局面になっています。前期実績ROEが14.5%と高めであるにもかかわらず、今期予想PERは15.3倍 (10/15) にとどまっており、水準訂正に期待したいところです。
乃村工藝社(9716) ~総合ディスプレイ業界最大手。大阪・関西万博の反動を乗り越える?
◎長期にわたりディスプレイ業界を牽引
創業は1892年(明治25年)、香川県高松市にて芝居の大道具方として乃村泰資氏が立ち上げました。大正時代には菊人形の舞台演出等を手がけ、昭和以降は博覧会の展示や百貨店の催事等、イベント分野にも進出し、現在に至ります。
現在では、総合ディスプレイ業界で売上高・シェアともに国内No.1を誇る最大手企業です。会社資料によると、2025年度における業界上位30社の売上高合計に対し、同社は15.9%を占めており、第2位以下を引き離しています。同社は、長期にわたり業界を牽引してきた存在とみられます。
主な市場別売上高構成比(2026年2月期)は、専門店市場が27.3%、余暇施設市場(ホテル・テーマパーク等)が15.1%、複合商業施設市場が11.1%、広報・販売促進市場が10.6%、その他市場が18.4%となっています。
◎第2四半期累計決算は減収減益も受注は最高水準
ディスプレイ業者の業績に大きく影響しやすいのは、日本経済全般の景況感 (広報・販売促進市場等に影響) 、不動産・建設市況、ビッグイベントの有無 (博覧会・イベント市場等に影響) 等であるとみられます。その意味で、足元の業績には、大阪・関西万博 (2025年4月~10月13日)の反動が出ていると見受けられます。
10/8 (木) に発表された2027年2月期第2四半期累計 (2026年3~8月) 決算では売上高733億2,200万円 (前年同期比9.0%減) 、営業利益52億6,100万円 (同23.7%減) と減収減益になりました。大阪・関西万博関連の売上高が剥落し、博覧会・イベント市場の売上高が急減したことが響きました。
一方、受注面では改善がみられます。将来の売上高に影響する受注高は同四半期累計期間に前年同期比21.1%増え、2026年8月末受注残は同38.3%増と大幅増でした。さらに、2027年2月期第2四半期 (2026年6~8月) 3ヵ月の営業利益は27億6,900万円 (前年同期比17.1%増) で増益に転じています。2027年2月期通期の会社予想売上高は1,680億円 (前期比3.3%増)、営業利益134億円 (同4.5%増) で、従来予想に変更ありません。
同社は配当政策として、「DOE (株主資本配当率) 7%以上」または「配当性向50%以上」のいずれか高い方と定めています。今期の会社予想1株配当金は、現時点で44円の計画です。会社予想1株利益は82円89銭で、現状での配当性向は53.1%と計算されます。
10/15(木)終値1,249円および上記予想1株利益、同1株配当金から計算される予想PERは15.1倍、予想配当利回りは3.5%で、業績底入れの様相を考慮すると投資妙味が高まりつつあるとみられます。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。





