◉企業の現状把握のポイント2〜後継者の状況の把握〜
経営を取り巻く状況を分析し、事業承継をすることが適切と判断された場合には、後継者の状況を把握することが最も重要となります。
先に述べました「ヒト」の状況把握の際には、あえてこの後継者候補の状況分析は外して述べさせていただきました。それは、後継者候補の把握は、企業の事業承継を決定してから考えることが合理的であるためです。後継者の把握・選定は、経営状況分析の結果、企業を承継させることを決定してから考得るべき問題です。
後継者候補の把握としては、事業を承継するにふさわしい方がどこにおられるか(ご子息などの親族内か、役員などの企業内か、企業外部の第三者か)、後継者を教育するだけの時間と環境が整っているかを検討することが必要となります。
後継者教育の具体的なポイントにつきましては、他記事(後継者選定のポイント・後継者の適性)で述べておりますので、詳細につきましては割愛いたします。このように、企業の事業承継を決定された後は、後継者の把握が大きなポイントとなります。
◉企業の現状把握のポイント3〜経営者様の個人資産の把握〜
最後に、「モノ」の現状把握として、株式や土地などの保有状況を確認されることが重要となります。
株式は最終的には、後継者に集中させる必要がありますので、現時点での株式の保有状況を確認し、後日の株式譲渡などの対策を練ることとなります。また、事業用の土地などが経営者様の個人名義となっている場合には、相続の対象となり、事業の継続に支障を来すおそれがあります。この場合には所有権移転登記手続きを行う必要があります。
事業承継における「モノ」の移転については多分に法律的な問題が絡みますので、事業承継に携わっている法律家のアドバイスを求めることがおすすめできます。
◉まずは会社の現状分析!
企業の事業承継というと、どこから手をつけるべきか悩んでしまわれる方がほとんどです。事業承継は一生に一度の大プロジェクトでありますので、それは当然のことです。また、事業承継をすることが自らのご引退を意識させるものとして、なかなか手をつけることに躊躇される方もおられます。そのような場合には、一種の会社の健康診断として、会社の現状分析をされると考えてみてはいかがでしょうか。
会社の現状分析をしてみた結果、「事業承継を考えてみようか」というお気持ちになるケースも多々あります。このように、企業の事業承継にあたりましては、まず会社の現状分析から手をつけるようにされてみてください。
行政書士 S.K
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