こんにちは。事業承継問題に取り組んでおります行政書士のS.Kです。
毎週木曜日にオーナー企業のための事業承継を連載しております。

今回は、事業承継の前段階としてとても大切な企業の現状を把握するということについてお伝えします。

【参考】

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【オーナー企業のための事業承継シリーズ】

オーナー企業のための事業承継vol1「事業承継の必要性と円滑化のための法制度とは?」
オーナー企業のための事業承継vol2「後継者選びのポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol3「後継者選びのポイントは?その2」
オーナー企業のための事業承継vol4「建設業界に学ぶ許認可事業の事業承継って?」


◉事業承継に向けては企業の現状を把握することがスタート!


企業の事業承継手続きを実施するにあたっては、まずは、会社の現状を把握されることがとても大切になります。これは、企業の事業承継を1つのプロジェクトとお考え頂けると分かりやすいのかもしれません。

例えば、建設会社様が工事を受注される場合、受注に先立って、まずは会社の技術力や資金繰りを考えられると思われます。会社の抱える技術者の数、発注できる下請け会社の状況、工事完成までのお金の出入りの状況など、現状を把握されてから工事を受注されますよね。もし、これらの会社の現状を十分に把握しないまま安易に工事を受注してしまっては途中で思わぬつまずきに遭ってしまい工事が頓挫してしまうかもしれません。そして、企業の事業承継も同じように考えることができます。
実施に先立って、会社の現状を十分に把握してからスタートすれば、思わぬ躓きに出会ってしまう可能性は低くなります。そのため、企業の事業承継にあたっては、会社の現状を把握することがスタート地点となります。


◉企業の現状把握のポイント1〜経営状況の把握〜


では、企業の事業承継というプロジェクト実施に向けては、どのような点に着目して企業の現状把握を行えば良いのでしょうか。現状把握のポイントは様々ありますが、主として以下のような点がぜひとも考慮していただきたいポイントとなります。

まず、企業の現在の経営状況を把握することです。企業の現在の経営状況とは、事業遂行に必要な技術者と取引先の状況、金銭的な資産と負債のプラスマイナス(キャッシュフローの状況も含みます)、業界の展望などです。つまり、企業を取り巻く「ヒト・モノ・カネ・情報」を客観的に分析することです。中心となるのは、主として「ヒト」と「カネ」です。事業承継後に経営を維持し続けることが可能となるだけの社内の人員と社外の取引先を期待できるかどうか、経営を維持し続けるだけの財務体力が温存されているかを客観的に分析する必要があります。この分析には、社会保険労務士(人事労務の専門家)や税理士といったプロの力を借りると良いでしょう。

企業の経営を取り巻く環境が、次世代に残すことが有益かどうかを冷静に分析されることも大切です。場合によっては、事業承継を断念し会社を清算されるという方法を検討されることも必要かもしれません。経営を取り巻く環境から、事業を継続することがあまり望ましいとは言えない場合、「勇退」されることも立派なひとつのご決断です。
このように会社の経営状況の分析にあたっては、会社の技術力、取引先、財務状況を中心として次世代に承継させることが望ましいと言えるかを冷静な目で分析することが第一となります。