日本政府観光局のまとめによると、2014年の訪日外国人数は、11月の時点で早くも目標であった1200万人を突破し、引き続き好調に推移している。これは史上空前の規模であり、日本政策投資銀行は地域経済の活性化や雇用機会創出など多大な経済効果をもたらしていると指摘している。
外国人による訪日旅行はインバウンドツーリズムと呼ばれ、今後の日本にとって重要な産業になると目されているが、インバウンドツーリズムの経済効果は意外な分野にも波及している。その意外な分野にスポットを当てて、成長産業の予測をしてみた。
予想通り好業績を挙げている業種
まずは、インバウンドツーリズムの恩恵を受けていそうだと容易に想像できる業種からピックアップしてみたり。日本最大手の旅行代理店、日本交通公社の主席研究員である塩谷英生氏は、温泉、歴史、グルメなどが訪日観光で期待されている観光活動であるという調査結果を発表しており、ここから見えてくるインバウンドツーリズム関連業種を挙げてみた。
新幹線人気によって乗客数が好調に伸びているJR各社、訪日外国人による旺盛な購買力に支えられた百貨店や物販、ドラッグストアなどの流通業、旅行を手配する旅行業、外食産業など。
こうした業種の株式は、訪日外国人関連銘柄としてすでに注目を浴びており、株式投資に関連する各種媒体で頻繁に取り上げられている。しかし、インバウンドツーリズム関連で注目すべき業種はこれだけではない。意外な業種も恩恵を受けており、こうした業種にも注目してみよう。
安全で高品質、日本の農業に注目
産地偽装や使い回しなどが時折発覚するものの、依然として日本の食は世界的に高い信頼度を保っている。最も訪日観光客数が伸びている中国人からのポジティブなイメージが特に顕著で、「食の安全がニュースになること自体が安全である証拠」というブラックジョークに近い声も聞かれる。
こうした背景から日本産の食材、農作物に対する信頼や親近感がとても強く、野菜や果物といった農業関連の産業が好調に推移している。注目企業としては、オイシックス や、アグリ事業に力を入れているJT 、日本独特のお茶文化をリードしている伊藤園 などが挙げられる。
食品メーカーはもとより、トヨタ自動車 やJFEスチール 、オムロン 、ファイストリテイリング など異業種からアグリ事業への参入が相次いでいるのも、この市場が有望視されていることの証左だ。