独自のチケット管理システムの導入、社内の人件費・経費のカット
同社は格安サービスをどのように実現させているのだろうか。その1つが、独自のチケット販売システムだ。当時、旅客システム処理会社の中国民航信息網絡(トラベルスカイ・テクノロジー)がチケット販売・発券事業を独占していたが、春秋航空はチケット販売からフライトコントロール、チケット予約、発券、顧客管理、割引管理をカバーする自前のシステムを導入することで、大きなコストカットを実現した。
また徹底した社内の経費抑制も有名だ。中国企業のトップ(老板)は自家用車の通勤や、贅沢な暮らしぶりが典型的なイメージとして定着しているが、同社では経営層から一般社員に至るまで、原則として公共の交通機関を使って移動することが義務づけられている。まさに、社員全員が「節約」を実践しているのだ。
補助金に依存した収益構造、中国国内の格安航空競争激化が新しい懸念材料
一方で、経営に対する懸念の声が上がっている。同社はこれまで、人の往来が少ない赤字空港の救済を目的とした補助金で大きな利益を計上してきた。2014年12月22日付の新京報によると、春秋航空の補助金収入は、2011年は4億9000万元、2012年は5億元、2013年は5億2000万元、2014年(1月~6月時点)は2億1000万元となっている。
そして、この補助金収入が売り上げ全体に占める割合は、2011年からそれぞれ、74.50%、59.89%、52.90%、55.37%と非常に大きい。経済系シンクタンクの崔瑜氏はこれについて「中国政府は現在、税制上の優遇措置を縮小してきており、近い将来、春秋航空は補助金収入の低下による問題に直面するだろう」と指摘している。
さらに中国国内では近年、各航空会社のチケット低価格化や、高速鉄道を始めとする交通手段の多様化により、「格安」が常態化し始めている。さらに昨今の航空業界には海航集団の西部航空、中国東方航空傘下の中国聯合航空、吉祥航空傘下の九元航空などが相次いで参入。格安航空市場の競争激化に拍車を掛けている。
政府による補助金収入の低下や中国国内格安航空市場の競争激化――。同社が昨今、国際線の開通を急ピッチに進めている背景には、中国国内のこうした不安定要素があるといえるだろう。とはいえ、日本でもスカイマークの民事再生法の申請に代表されるように、格安航空の競争は国外でも苛烈を極めるばかりだ。
競合争いに勝つには、他社が真似ることのできない独自のビジネスモデルをいかに確立するかにかかっている。同社はいま、上場と同時に新たな正念場を迎えているといってよさそうだ。
(ZUU online)
【関連記事】
明治HD第3四半期決算は大幅増益、「明治ヨーグルト R-1」などの販売が好調
“火中の栗”スカイマークに救いの手―投資ファンド・インテグラルが支援を表明
日経新聞や日経各紙(産業・MJ)まで全て利用可?ネット証券は『情報の宝庫』
2015年3月末の“長く持つほど得をする”株主優待銘柄6選!
10万円以下でも買える?2015年の目玉LINE株を上場前に買う2つの方法