地方に店舗を持たない百貨店が好調
各社の売上分析によると、衣類等は前年並みであるが、高級品と訪日客による免税品の売上が好調ということである。実際、訪日客に対する免税等の売上は、阪急うめだ本店は前年の4倍、三越伊勢丹グループの国内百貨店事業全体で2.5倍、Jフロントリテイリングは、前年の3.9倍、高島屋は前年の2.9倍と軒並み上昇している。つまり、売上を牽引しているのは、富裕層である訪日客であり、これらの観光客は大都市部に来るため、大都市に店舗を数多く持っていて、地方に店舗をあまり持たない百貨店グループが好調ということがいえる。
売上の内訳は公開されていないため、断定はできないが、百貨店の売り上げにおいて、免税売上を除くと、おそらく全ての店舗において前年比マイナスなのではないかと思われる。デフレ脱却で景気が回復しているので、消費税の影響は徐々に薄れていくと楽観視されているが、実際には実質賃金がプラスになっていないので、消費は回復していない。結局、百貨店としては、外国人頼みの構造となっているのである。
地方が求める百貨店の姿を示せるかが肝要
このような状況を踏まえると、当面は、免税品カウンターの拡充や外国語表示の充実、空港テナントへの出店など、訪日客をターゲットにしたマーケティング戦略をするしかない。地方においては、厳しい状況が続くと思われるが、地方創生ということもあるので、単に不採算店舗を閉鎖するというのではなく、地域の中のランドマークとなるような魅力的な施設にしていかなければならない。
大都市にある百貨店のコピーを地方に置くのではなく、大都市の人は求めていないが、地方の人が求めているものを探し、それを提供することが肝要である。そのためも、本店採用の職員が地方に転勤して全国一律の店舗運営するのではなく、地元採用の職員に大きな裁量を与えるなど、抜本的な改革をしていくことが求められる。
(ZUU online)
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