近年「貯蓄から投資」が提唱されて久しいが、アベノミクスによる日経平均株価の上昇や少額投資非課税制度(NISA)が開始されるなど、投資をめぐる環境は変化してきている。これから年度末に向けては、3月末で株主権利が確定することもあり、株式への投資にも関心が高まる時期。そこで、株式投資に関する「あるある」をまとめてみた。
1.株価チェック依存症
複数台のモニターをチェックしながら、億を超える投資資金で数多くの銘柄に幅広く投資する個人投資家も存在するが、それはほんの一握り。実際には、給与などから投資資金を工面し、コツコツと資産の形成を目指すスタイルが大半となる。株式投資を始めるにあたっては、最初に売買する銘柄には特別な愛着のようなものを覚える。
今やスマートフォンで四六時中株価のチェックもできるので、日々の動きが気になって確認したくなるものだ。株価が上昇すると、そのうれしさから何度もチェックしたくなる。下落局面でも気分が落ち込むので相場は見ないと決心しても、やはりそこは所有株に対する親心のようなものなのか、ついつい端末を手に取ってしまう。出勤前後や休憩時間などで済んでいる限りはまだよいが、これが仕事中も株価が気になり、携帯電話でチェックが止まらず、本業の仕事も影響が出てしまうことがある。
2.ルールなき投資で恩恵なし
定期預金に回しても利息収入がほとんど期待できない低金利時代。株式投資は資産が倍増する可能性も秘めているほか、配当金や優待など預金に比べるとメリットは高い分、リスクも同時に潜在する。投資の世界で言われる「損切り」。いくらまで株価が下がれば無条件に売って手放し、損失を負担できるラインをあらかじめ設定しておくものだが、実行に躊躇してしまうこともある。
株価が下落すると、買い増しをしようかという考えも生まれるし、少し時間が経てば相場感も変わるのではという根拠のない期待も抱いてしまい、最終的には損が膨らんでしまう結果になる。機関投資家は株価下落局面では機械的に損失処理を加速させるため、株価が一方向に振れやすくなる。そのような中、個人投資家が損失を最小限に食い止めるには、やはり損切りラインを設定し、それを徹底するしかない。
3.投資情報を鵜呑み
株式投資には、資金、株価の上昇期待度、株主還元など様々な要素から投資を決定することになるが、数ある銘柄から選択するのは一苦労。バブル期の頃のように、買えば何でも株価は上がるだろうという楽観的なムードはもはや市場には広がらない。しかし、自力で四季報や企業のホームページなどから情報を収集し、自己判断で株を購入するには決断力も求められる。
一方で、経済誌などで「儲かる株」と称して度々組まれる特集に目が行ってしまうのも事実だが、メディアに大きく取り上げられた時点では、すでに株価は大きな上昇を終えてしまっていることが多く、儲かるという売り文句で語られるような夢物語ではない。それでも、雑誌に載っていた、新聞で紹介されたという「お墨付き」に魅かれ、投資をするものの、期待するパフォーマンスにならない結末に陥ってしまう。