3月3日、仏運用会社ナティクシス・グローバル・アセット・マネジメントが発表した150ヵ国を対象とした『退職後に必要とされる生活保障に関する調査』における世界ランキングで、日本の順位が上昇したことが明らかになった。

今回で3回目となる退職後指数で日本は69%から71%へ上昇し、17位に順位を上げ、昨年の20位圏外から再度上位20位内にランクインした。順位の上昇は、退職後の健康と経済的保障を左右する基礎的条件が引き続き良好であったことが最終的に大きく寄与したと言える。

世界最長である平均寿命が83.1歳へと伸び、また国民一人当たりにかける医療費が2年で15%増加したこと、保険料のカバー率が86%へ上昇したこと、一人当たりの病床数(1000人当たりに14床)が世界一であったことなどから、健康指数では引き続き群を抜いて高得点を付けた。

また、日本ではこの一年の金融機関のパフォーマンス向上により、退職後の経済的保障も増加した。銀行のバランスシートは不良債権が7%減少したことで強化されたほか、日本企業のガバナンスの順位も上昇した。

一方で、「日本経済と退職後の生活の質は、2015年に大きな問題に直面する」と同調査は指摘している。

急速な高齢化により国家予算と政府債務(政府債務残高の対GDP比は240%と過去最高)へさらに圧力がかかっている。

同調査では「政府債務と高齢化の問題が重なるため、退職者が恩恵を受ける社会保障制度への公共支出を維持することがさらに困難になる。」「日本では、2013年に25%だった65歳以上の人口が2050年までに38%に増えると予想されることから、今後数十年で退職者一人に対する労働者数が減少すると予想される」とした。


グローバルの動向

一方、グローバルの動向としては引き続き欧州各国が退職後の生活において経済的保障が最も良いとされ、2年連続で1位がスイス、2位がノルウェーとなった他、上位10国中8国は欧州が占めた。欧州以外の国では3位のオーストラリア、10位のニュージーランドがランクインしている。

同調査では「経済成長、強固な金融制度・規制、医療その他の福祉サービスを受ける権利を広く提供する公共政策、インフラおよび技術への多額の公共投資」が上位の国々に共通して見られると指摘。また、「労働者には退職後に備えた強制的あるいは半強制的な貯蓄制度が提供されている」と評価した。

一方で、ランクインした国々に対しても「市民の大半が退職年齢に差し掛かっており、その多くが退職後も数十年生き続けると同時に、退職者が頼りにしている社会保障を支える労働年齢の人口が減っている。これらの国々の多くは既に高い税金を課しており、政府は重い債務負担を負っていることから、退職後の保障の長期的な存続は危険にさらされる恐れがある。」と警鐘を鳴らしている。

(ZUU online)

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