IPO(initial public offering/新規株式公開)とは、未上場会社の株式を証券市場(株式市場)において売買可能にすることを指します。株式を公募や売り出しによって新規に公開することから「新規公開」とも呼ばれています。日本においては、かつて証券市場に上場する方法と、日本証券業の登録銘柄となる方法(店頭登録)がありましたが、後者の制度が廃止されてジャスダックに移行したため、現在では、前者の方法のみが存在しています。今年に入りIPOを実施した全ての企業の株の初値が公開価格を上回るなど滑り出しは順調で、アベノミクスへの期待に伴う株高という追い風を受けたIPO市場は今後も好況を呈していくと言えそうです。
今回はそのIPO関連の銘柄の中でも、12月19日に上場予定の足利ホールディングス(以下:足利HD)についての記事をお届けします。足利HDの傘下である足利銀行は、2003年に経営破綻した後に上場廃止となったものの、野村ホールディングスの投資子会社からの支援を受け、経営再建を進めて来ました。今回の上場が果たせれば、実に10年越しの経営再建となりそうです。
11月29日に仮条件が決定され、12月10日に市場区分と公開価格が決定されます。新株発行は5500万株の予定であり、想定発行価格は1株420円。さらに追加の売り出し825万株も予定しており、合わせて最大248億円を調達する見込みです。この公募により上場時の時価総額は1400億円規模になると予想されています。この来月に迫った再上場について、その背景と今後の株価についての記事を、足利HDの概要と共にお届けします。
【追加分析・参考】
【公開価格決定】足利ホールディングス(足利HD/足利銀行)の上場初値とIPO後の株価を予測
【初値分析】三菱商事子会社シグマクシスがマザーズ上場!~その背景とIPO後の株価想定~
大型上場相次ぐ?IPOブーム到来の予兆[前編]〜過去の戦績と政府系上場説のまとめ〜
大型上場相次ぐ?IPOブーム到来の予兆[後編]〜西武、リクルート、、連発する非上場の巨人達〜
●足利ホールディングス(足利HD/足利銀行)の企業概要
足利HDは、足利銀行、足利信用保証株式会社、あしぎん総合研究所、あしぎんカードといった関連会社から成る企業グループです。なかでも足利銀行は栃木県を基盤とする地方銀行であり、栃木県内での貸出金シェアは約50%、県内の中小企業向けでは約80%に達する「ガリバー銀行」と呼べる存在です。栃木県に次ぐ拠点数を持つ埼玉県については北部と南部に集中して出店しています。
全国的に見てみると、預金量の額では4兆7458億円と全国で64行中第15位、関東圏では横浜銀行、千葉銀行に次ぐ第5位に位置しています。13年3月期の決算では、足利HDの連結税引き後利益は18年ぶりに法人税の支払いが生じたこともあり、前期の171億円から9.9%減の154億円となりました。しかし連結経常利益は前年172億円から8.1%増の186億円と改善しています。連結自己資本比率も9.7%と、最低基準である4%を大きく上回っていると言えます。
【表1】地銀 預金額ランキング
【表2】地銀 総資産額 ランキング
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