足利ホールディングス(足利HD/足利銀行)

今年も残り一か月を切り、年末のイベントが盛り沢山な季節になってきましたね。ところで、にぎやかなのは観光スポットだけではありません。株式市場も好況を背景に連続するIPOでひそかな賑わいを見せています。今回はその中でも、先日お届けした足利HDの再上場「 初値はいかに?足利ホールディングス(足利HD/足利銀行)再上場とその株価を占う 」についての続報をお届けいたします。いよいよ迫る上場日に向け、株価の値はどうなっているのでしょうか?10日に420円で決定した公開価格を元に、および強気・弱気の材料にはどのようなものがあるのかをまとめてみました。

【参考】

初値はいかに?足利ホールディングス(足利HD/足利銀行)再上場とその株価を占う
【初値分析】三菱商事子会社シグマクシスがマザーズ上場!~その背景とIPO後の株価想定~
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●足利ホールディングス(足利銀行/足利HD)の初値は出資価格を下回る予想~公開価格割れも懸念?~


結論としては、想定価格を元にした仮条件での初値想定値のレンジは400~470円(PER:7.4~8.7倍)となっています。その中でも420円前後が妥当な価格だと予想されています。この価格だった場合の吸収資金のレンジは222.0億円~231.0億円、時価総額のレンジは1300.0億円~1365.0億円と見込まれます。
懸念としては、公開価格割れも視野に入れておく必要があるかも知れません。確かに事前報道などで話題に上ったことで投資家の注目は一応集まってはいるものの、地銀は本来、市場の関心が低いセクターであり、既上場株もトップクラスを除いては取引量もあまり多くないのが現状です。足利銀行は地銀の中で言うと確かに上位行ではありますが、そこまでの実力があるというわけでもなく、配当も低いため上昇率は低いものにとどまりそうであると言えそうです。


●足利ホールディングス(足利銀行/足利HD)初値形成における強気要因と弱気要因まとめ


ここで、強気要因および弱気要因にはどのようなものがあるのか、改めてチェックしておきましょう。

●足利ホールディングス(足利銀行/足利HD)強気要因

強気要因としては、「割安感がある」、「業績好調」そして「外資が引受団入りしている」などの要因が挙げられます。
まず、割安感について。足利HDの業績を元にした修正PERは9.1倍であり、全体でも低い部類に入っています。隣県で上位行である常陽銀行や群馬銀行はそれぞれ13.5倍と17.4倍、また武蔵野銀行も12.0倍と高く推移していることを踏まえると、お得な印象も感じられると言えます。地銀のPERは、業界順位、地域経済の好不調や利回りなどで高低が決まる傾向にあります。現状では大都市や復興景気にわく東北太平洋側を地盤とする銀行が高評価となっています。しかし一方では、北洋銀行のように第二地銀最大手でありながら7.6倍と低評価な銀行も存在します。また同県内に2行以上上場していると、上位行が高く評価されるのに対し、下位行は放置される傾向も見られるのが現状です。今回の足利銀行も、「普段は流動性も低く機関投資家の組み入れ意欲も低い」という地銀の銘柄としての特徴が要因となって明確な裁定が働かないようです。
ただ、その中でもやはり好業績は無視できないポジティブ要因だと言えそうです。預金総額5兆円弱であり、地銀としては上位行と言えます。また経常利益も240億円と、近隣では常陽、群馬に次ぐ数字を出しています。全体では七十七、京葉、第四などの上位行とも肩を並べうる位置にあり、同地域の栃木銀行とは3倍程度の差が開くまでの規模は有しているのが現状です。
加えて、地銀株はトップクラスかつ東京近郊でないとアナリストのカバレッジが付かず、安くなる傾向があります。せめて北関東であれば国内系証券は引受団に加わってくれることもありますが、経常利益200億円台では外資系が引受団に入ることはあまり見られることではないと言えます。しかし今回の足利の引受団の顔触れには一応メリルリンチも名を連ねており、上場後を見据えてカバレッジに入る準備をしているとも考えられます。この点で、さほど注目度も低いわけではないと言えそうです。