●足利ホールディングス(足利銀行/足利HD)弱気要因

一方、弱気要因としてはやはり「不人気セクターであること」が影響している点や、「上場集中日による分散」、「追加増資の可能性」などの点が初値を抑える要因となっているようです。
地銀の再上場は不人気である感は依然否めないのは事実です。これまでの例では東京スター銀行の再上場がありましたが、こちらは公開価格割れという結果になっています。通常のIPOでは下位行が多いのですが、高配当だった島根銀行を除いては今のところ芳しい成績だったものは無いのが現状です。八千代銀行の例では、上場時には割安感もあり、経済も都内が基盤であったことに加え、07年4月という比較的地合いの良い時期での上場でしたが、こちらも公開価格割れとなっています。銀行再上場ではこれまで外資系ファンド主導で無理な公開価格を設定するケースが見られましたことも関係しています。
次に、前回の記事でも挙げていますが、やはり上場集中日で資金分散も起きやすいことが依然影響しているようです。現状の相場の強さから、引受価額までは下がらないとは言えそうですが、心理的節目で仮条件下限でもある400円までは見ておいた方が無難そうです。
また来春からのバーゼル3適用からは地銀にも規制が強化されることを踏まえ、資本増強に走るところが出始めており、市場資金は奪い合いの様を呈しています。足利の上場もそれを踏まえたものだからこそ、出資価格の500円を下回ってでも自己資本から外される社債型優先株の消却を急いだとみられます。なお、バーゼル対応では優先株がまだ半分残るため、上場後の追加増資が考えられる点は足利銀行にとってはマイナスに働くと予想されます。


●過去の地銀IPOの初値上昇率


参考までに、過去の地銀の上場事例における初値の上昇率を掲載しておきます。

<地銀IPOの初値上昇率>
年月. 銘柄名 上昇率
05.10 東京スター -3.5%
06.02 荘内銀 0.2%
06.03 高知銀 11.6%
07.04 八千代銀 -5.6%
11.03 島根銀 22.3%


●足利ホールディングス(足利HD/足利銀行)の公開価格の考察


12月10日に、想定レンジの上限額である420円で公開価格が決定しました。(公開価格での時価総額は1,365億円)
最近は、銀行関連株式や直近IPO銘柄の上下動も激しく、上場日である19日の株式相場全体や、銀行株(特に地銀株)の株価水準、また直近IPO銘柄群の勢いなどにも左右されることでしょう。
昨年から今年の大型IPOとしては、日本航空(JAL)やサントリー食品などの成功も記憶に新しいように、大型銘柄としての主幹事の思惑も働く可能性も無視できない事実でしょう。実際に、主幹事証券のリテール担当者さんの話だと、公開価格決定を受けて、顧客へプラスαでの初値買いの提案が行われ始めたということでした。リテールのバイイングパワーも加わり、初値をどこまで吸収できるかに注目が集まります。

いかがだったでしょうか? 前回の記事 からさらに追加情報が出てきており、初値の予想も定まってきているようです。今月に入って早売りによる結果的な落ち付きが見られ始めており、引き続き公開価格を意識した展開を予想していく必要がありそうです。

【参考】

初値はいかに?足利ホールディングス(足利HD/足利銀行)再上場とその株価を占う
【初値分析】三菱商事子会社シグマクシスがマザーズ上場!~その背景とIPO後の株価想定~
大型上場相次ぐ?IPOブーム到来の予兆[前編]〜過去の戦績と政府系上場説のまとめ〜
大型上場相次ぐ?IPOブーム到来の予兆[後編]〜西武、リクルート、、連発する非上場の巨人達〜

BY: ZUU online編集部(H.O)