ファミマ
(写真=大川 佑)

コンビニエンスストア業界 3 番手のファミリーマート <8028> (以下、ファミマ)と、 4 番手のサークル K サンクスを傘下に持つ ユニーグループ・ホールディングス <8270> (以下、ユニー)が、 3 月 10 日に経営統合を協議する旨の共同会見を開いた。

統合が実現すれば、業界 2 位の売上高と、店舗数ではトップクラスのコンビニチェーンが誕生することになる。

ナンバーワンになれないファミマの焦燥

現在業界を率いるのは セブン&アイ・ホールディングス <3382> の子会社である セブン - イレブン・ジャパン (以下、セブン)。チェーンの総店舗数は 1 万 6 千を超え、 2014 年 2 月期の売上高は 3 兆 8 千億円に達した。 2 番手のローソン <2651> は 2014 年 2 月期の国内売上高が 1 兆 9 千億円。現在は 11,606 のチェーン店を展開している。

上記 2 チェーンに対し、ファミマの 2014 年 2 月期の国内売上高は 1 兆 7 千億円。店舗数は 10,547 で 、 2004 年の 6,199 店から大幅に増加したものの収益率が伴わず、独力での 2 位浮上には相当なエネルギーを要するという状況下にあった。中山勇代表取締役社長のマネジメントメッセージが「本気で勝ちに行く挑戦者ファミリーマート」であることからも、先走者の背を捉えきれない同社の焦燥感が伺われる。

ユニーはスーパー事業とのシナジー効果を見込めるのか?

一方のユニーは業界内で統合の噂が絶えなかったにも関わらず、自主独立路線を貫いてきた。ところが経営不振によって前経営陣が引責辞任し、佐古則男新社長がコンビニ業界にも目を向けたことが、今回の統合協議のきっかけとなったとの見方は少なくない。

ただ、同社の業界への取り組み姿勢には未だに腰を据えられていないのも事実だ。東海を地盤とするサークル K と関東以北が中心のサンクスは、総店舗数では 6 千を超えはするものの、チェーンをリードできるような明確な方針を打ち出すことができずにいる。消費者からの「それぞれは違う店」という印象を拭えないでいるのだ。

また、売上高の 3/4 を占めるアピタなどのスーパー事業も苦しい状況下に置かれているが、コンビニとは業態が違うだけに直接的なシナジー効果を期待するのは困難だ。無論プライベートブランド( PB )の開発など、可能性のある分野もいくつかあるが、中途半端な取り組みでは協力するメーカーへの訴求力に乏しい。

次世代に視野を置くセブンとローソン

コンビニが次世代流通の鍵となるであろうことは、すでに業界のコンセンサスになりつつある。トップのセブンは、ネット注文による書籍の取り置きや食事の配達サービスを開始するなど、 ネット とリアルの融合にコンビニの店舗網を活かす戦略を展開しつつある。また、ローソンは独自の高級路線を堅持してきた「成城石井」を買収し、 セントラルキッチンなど 製造小売業としてのノウハウを 吸収する など、セブンとは異なった未来像を示そうとしている。

両者とも次世代への備えには積極的であっても、ファミマとユニーの統合には無関心だ。

問われる統合の効果

店舗数こそトップクラスになったとしても、売上高ではセブンと 1 兆円近い差が残る。 確かに規模拡大が効果をもたらしやすい業界ではあるが、一方で利便性や取り扱う商品・サービスに魅力がない限り顧客の支持は得られない。激しいシェア争いで国内 5 万以上のコンビニがひしめく中、セブンのみが既存店売上高でプラス成長し続ける現実を改めて直視する必要がある。

統合の効果は規模拡大のメリットをいかに商品・サービスの充実に向けることができるかによるし、店名を統一して立ち上げる「新ブランド」が成功するか否かは、顧客が魅力を感じるラインアップをいかに打ち出せるかにかかっている。