コンビニ業界はセブン&アイホールディングス <3382> がリーディングホルダーとなってけん引しているという状況に間違いはないといえる。他社と比較しても同じようにスーパーの事業は苦戦を強いられるものの、コンビニ業界においては絶好調だ。

オリジナルブランドのセブンカフェやプライベートブランドの充実をはかり、コンビニ業界他社との圧倒的差別化を図ってきた。2015年2月期決算では、コンビニエンスストア事業の増収と通信販売事業の新規連結により営業収益は 6 兆 389 億 4,800万円(前年同期比 7.2%増)となった。

通信販売事業が、好調なのはこの業界に限らず、実際に店頭へ出向くより、ネットに接続してワンクリックで購入することの方が簡単だと考える人が増加してきているとみられる。

さらに、コンビニエンスストア事業好調が要因のほか、金融関連事業が増益となったことから、営業利益は3,433 億 3,100万円(同 1.1%増)、経常利益は、3,414 億 8,400万円(同 0.7%増)、当期純利益は、1,729 億 79,00万円(同 1.5%減)となり、営業収益、営業利益、経常利益はそれぞれ過去最高を更新した。

同業種のファミリーマート <8028> 、ローソン <2651> 、イオン <8267> などの決算も出揃い、消費増税後の節約志向でスーパー事業が厳しい中、コンビニは順調な動きを見せている。

ファミリーマートはこうした状況を、大手企業を中心にベースアップに踏み切る動きが広がっていると考えているが、消費税増税の影響に加え、円安を背景として食料品や日用品をはじめとする生活関連用品などの物価が上昇し、消費者マインドの回復ペースは鈍化していると分析。

同社においても、プライベートブランドの充実が売り上げや収益向上に寄与し、他社との差別化が大きな要因だ。

また、イオンでは、低価格で食品・日用品を提供する販促企画や「トップバリュ」約 5,000品目における本体価格の値下げ等、価格優位を実現する施策に取り組み、地域生産者との協働による地元産品の拡充を図ることにより、地域密着型の催事企画「じものの日」を全国 2,000 店舗で開始。

さらに、厳しさが続く小売業態の収益向上のためにお客様感謝デーの拡充など、様々な仕掛けをしてきた。一方、ローソンにおいても「MACHI café(マチカフェ)」メニューで、少量を手軽に購入したいという女性客のニーズに応えるため、ブレンドコーヒーのSサイズ100円(税込)を販売するなど容量と価格の見直しを図った。

全社に共通していえることは、比較的価格や質の変更がしやすいプライベートブランドの価格変更や商品内容の充実や変更を図ってきたといえる。実際、プライベートブランドがもたらす利益は、一般的に出回っているナショナルブランドを販売することよりも大きいのが実情である。

消費者目線に立った場合、コンビニは定価で販売しているという概念が強いことから、少しでも安く販売されているプライベートブランドは、ローソンを例に挙げた場合、ナショナルブランドと同じ品質のものを取り扱っている場合が多く、魅力的で購買意欲を掻き立てられるといってもいい。

このように、コンビニ業界にとってプライベートブランドの充実が営業利益を増大させるためのカギを握っていたと明言できる今回の決算結果だといえる。

今後もコンビニ業界をはじめプライベートブランドの拡充を図り他社と差別化することで競争が激化することは間違いないだろう。いかに消費者のニーズにこたえられる商品を作ることができるか、これが今後の業界における勝者になるための最大のポイントだといえる。(ZUU online 編集部)