日経平均が約15年ぶりに2万円と超え、にわかに盛り上がる東京株式市場で、4月27日に大和投信が新たなETFを東京証券取引所に上場させる。今回は、そのETFの内容と上場の背景について探っていきたいと思う。
インバース型は参照指標の反対の値動き
上場するETFは「ダイワ上場投信―日経平均インバース・インデックス」と「ダイワ上場投信―TOPIXインバース(-1倍)指数」の2つで、日経平均とTOPIXという、参照する指標の違いはあるものの、基本的にはインバース型という点で同様の商品だ。
インバース型は、日経平均やTOPIXなどの指標とは逆の動きを目指して運用されるもので、日経平均株価が10%上がったら10%下がり、10%下がったら10%上がる動きをするよう計算されていることから、株価が下落するトレンドで有効な商品である。
さらに、レバレッジ型の商品もあり、2倍に設定されている商品の場合、日経平均株価が10%上がったら20%上がり、10%下がったら20%下がる動きをするよう計算されている。日々の値動きが対象となる指標の2倍になるものが「レバレッジ型」、「-1倍」になるものが「インバース型」と考えていただければ分かりやすいのではないだろうか。
大和投信のETFは「日経平均インバース・インデックス」と「TOPIXインバース(-1倍)指数」を対象指標としており、これらの指標が、「日経平均株価」ないし「TOPIX」の変動率の「-1倍」の値動きになる指数である。
個人投資家は下げ相場への転換を意識?
次に、日経平均株価が上昇を見せているこのタイミングでインバース型のETFを設定した理由を考えていきたい。運用会社によって異なるものの、一般的には、商品開発を担当する部門が販売会社(銀行や証券会社など)を通じて寄せられた投資家のニーズを参考にしつつ、ファンドの企画および組成を行う。
そして、運用会社は信託報酬(投資信託を保有している間、投資信託の保有額に応じて日々支払うもの)を受けとるため、ファンドの純資産残高が増えれば増えるほど、収益が上がる仕組みとなっている。
こうした背景からすると、投資家の多くが日経平均やTOPIXが下落した際の利益が伸びるファンドを求めているということになるのだ。確かに、日経平均株価が節目の20,000円まで上昇し、徐々に買われすぎているのではないかという声も出始めている。
また、日銀金融政策決定会合でも、物価見通しを引き下げ、当面0%台で推移することが想定され、当初の目標である2%から大きくかい離し、3月日銀短観では、先行き業況判断指数(DI)が大企業、中小企業ともに悪化を見込むなど、株価上昇と連動していないことが伺える。
そして、何より、多くの投資家の声を形にできるであろう、大手証券グループの一角である大和投信が日経平均20,000円越えの時期にインバース型ETFを設定したことが、今後の相場下落トレンドを意識させる。
投資部門別株式売買状況を見ると、個人投資家は過去1年間のほとんどの月で売り越しとなっており、個人投資家の声が色濃く反映されたファンドと考えられる。そして、売買金額シェアの大多数を占める外国人投資家は買い越しが続いている。
今後の相場では、外国人投資家が勝つのか、それとも個人投資家が勝つのか、このような視点からインバース型ETFの動向を注目してみてみるもの面白いかもしれない。(ZUU online 編集部)
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