インフレーションに備えよう

日本は長いデフレーションの時代が続きましたが、ようやくその出口に立った状況となってきています。昨年の4月に行われた日本銀行の金融政策決定会合では、「物価安定の目標」として2%のインフレターゲットを設定しました。これから2年間で物価を2%上昇させるというものです。そして、この目標を達成するために異次元の「量的・質的金融緩和」を行っています。つまり、お金が市場に大量に供給されているわけです。

一方、アメリカでは金融緩和の縮小が注目を集めています。日本とは異なり、市場に溢れたお金を回収していこうとしているわけです。日米間だけの関係を見ると、日本では円を大量に供給し、アメリカはドルを回収しようとしている。相対的に円の価値が下がり、ドルの価値が上がるという現象が起きると考えられます。実際に2013年12月25日の段階で1ドル104円を超えています。

そろそろ日本におけるインフレーションを意識しておくべき時代がやってきたと考えてもおかしくないわけです。

参考: アベノミクスのインフレで円安はすすむ!?インフレ・デフレはどっちがいいか??

◎デフレとは何だったのか

では、そもそもデフレーションとは何だったのでしょうか?
デフレーションとは物価が持続的に下落していく経済状況を指します。1個150円だったりんごが半年後には1個100円で売られている状況になっていることがデフレーションというわけです。そして、デフレーションにはもう1つの側面があります。それは「貨幣価値が上昇する」という側面です。1個150円でりんごが売られていた時には300円で2個のりんごしか買えません。しかし、1個100円に価格が下がれば3個のりんごを買うことができます。同じ300円でも買うことができるりんごの数がデフレーションが起こり続けている時代には増えていくというわけです。

資産運用の側面から言えば、デフレーションという経済環境においては、現金や国債など額面金額が変わらないような資産で保有している方が有利と言えます。日本では、バブル崩壊後長らくデフレーションの時代を歩んできました。その時々で「失われた10年」「失われた20年」とも言われてきました。

◎インフレとは何なのか

では、インフレーションとは何なのでしょうか。
インフレーションとは、デフレーションとは反対の経済状況を言います。つまり、物価が持続的に上昇していく経済環境を指すわけです。そして、貨幣価値が相対的に下がっていくという側面も持っています。明治時代初期は「1円」というと、とても貴重なお金でしたが、今の1円は当時に比べれば、その価値が大きく下がっています。これは、日本がインフレーションの道をたどってきたという証でもあります。収集品という価値を除けば、明治時代の1円も今の1円も全く変わりません。三菱地所や三井不動産など大手不動産会社は大手町など皇居周辺に多くの土地を保有していますが、その一部は簿価がとても低くなっています。保有している土地を売却すれば多くの売却益を手にすることができるわけです。これはインフレーションの恩恵と行ってもよいでしょう。

インフレーションという経済環境下では現金という資産を持っているよりもモノを持っている方が良いということです。