(3)不動産

株式と並んで不動産もインフレーションに対応した運用商品と言えます。そして、不動産の素晴らしいところは、ローンを組むことができるということです。

現金で不動産を購入するというだけでもインフレーションに対応できますが、ローンを組んで不動産を購入すれば、インフレーション対策として効果は倍増します。なぜならば、ローンはインフレーションに弱いからです。ローンの場合、その借入金額がインフレーションによって増加するということはありません。インフレーション時において貨幣価値は目減りしているわけですから、借りている側ではローンの実質負担も減少しているということです。そして、調達した資金で不動産を保有していれば、負債は固定されている一方で、不動産は価格上昇期待を持つことができます。

但し、今後、日本の不動産はその選別に気をつけなければなりません。人口が減少していく時代に突入しているためです。東京23区内など、人口の流入が続いているエリアの不動産を物色していくことが重要となります。

◎バランスの良い資産運用が大切

今回、外貨預金、株式、不動産の3つを見てきました。これらのうち、どれが一番優れているかということはありません。自分の投資に対する考え方、資産を守る考え方は人それぞれです。その考え方に合わせて、上手に配分をしていくことが重要になってきます。

いくつかの投資商品に分散投資をした場合、全ての投資商品でプラスに持って行こうとはせず、全体の収支がプラスになっていれば良いのです。「外貨預金では含み損を抱えているけれども、株式には含み益があり、全体でプラスになっている」という状況で運用としては上出来です。

長く続いたデフレーション下では現預金を持っていることで、貨幣価値の上昇という恩恵を実質的に受けていました。しかし、1つの金融商品に財産を集中させることは大きなリスクと言えます。しかもデフレーション下のどこかのタイミングでモノ等に交換していなければ、「モノが安く買える」という、デフレーションの恩恵を何ら受けていないことになります。価格変動はリスクではありますが損失とは限りません。まずは自分の許容できる範囲でインフレーションに対応した資産で運用を始めてみるとよいでしょう。

【参考記事】
これから起こるインフレーションに備えるために~アベノミクス時代の資産保全~
アベノミクスのインフレで円安はすすむ!?インフレ・デフレはどっちがいいか??


by ista

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