1つ目は「ペイパービュー(PPV)」だ。テレビ番組の視聴料を番組ごとに支払う仕組みで、自宅にいながら「特等席」で観戦できるため人気が高く、アメリカ国内ではボクシング中継の主要な収入源として一般的になりつつある。PPVの視聴料は番組の注目度や価値によって変動するが、今回の「メイウェザーvsパッキャオ」の視聴料は89.95ドル程度、HD画質だと100ドルといわれている。
1万円超はPPVの視聴料としては破格の金額だ。中継を行うテレビ局は収益について、記録的な数字すぎて予測することは不可能な領域と述べている。過去のPPV記録は2007年のメイウェザーvsデラホーヤ戦の約248万件だがこれを超えるのは確実だろう。仮に購入件数が300万件以上に上ると、両陣営に渡る収益は2億ドル(約236億円)近くになるとみられる。

もう1つの「クローズド・サーキット」は、家庭単位でPPVの視聴料を支払うことに抵抗がある人、もっと大勢で観戦したい人のためのサービスだ。主に映画館など大きなスクリーンのある場所を利用して試合を生中継し、その入場料収入を得るという仕組みだ。サッカーなどでよく見られるパブリック・ビューイングに近い。PPVほどではないが、これも興行収入のうちに占める比率が高まっている。
「世紀の一戦」が行われる米ラスベガスのホテル、MGMグランドを運営するMGMリゾーツは現地ラスベガスでクローズド・サーキットを実施する。その収益が約9億円に達する見込みであると発表している。

PPV購入件数が多かった過去のビッグマッチ

このように、近年のボクシング興業は収入源が多様化しており、ファイトマネーが巨額化しやすい環境が整っている。こうした仕組みは今回のビッグマッチで始まったものではなく、すでに過去にも前例がいくつかある。これまでのボクシングのビッグマッチでPPV購入件数ベースのベスト3をご紹介しよう。

1位:オスカー・デ・ラ・ホーヤvsフロイド・メイウェザー・ジュニア(2007)
今回のビッグマッチが決定するまで長らく1位に君臨した一戦。PPV購入数は248万件。

2位:マイク・タイソンvsイベンダー・ホリフィールド(第2戦)(1997)
なにかとお騒がせボクサーのタイソンがホリフィールドの耳を噛み切り反則負けした一戦。PPV購入数は199万件。

3位:レノックス・ルイスvsマイク・タイソン (2002)
マイク・タイソンはアメリカでの人気は絶大。PPV購入数は195万件。

今回の「メイウェザーvsパッキャオ」戦がPPV件数でもこれらのビッグマッチを抜いて1位に躍り出ることは確実だが、その件数、収益額がどれぐらいの規模になるか、勝敗とともに、そちらの結果にも注目だ。試合は米ラスベガスで現地時間5月2日に行われる。(ZUU online 編集部)