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4月29日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明では、米国経済は一過性の要因で減速したとしていた。雇用の伸びは1-3月期に減速したが、4月雇用統計はどうだったのだろうか。そして、雇用統計の結果を受けて、今後の動向を考えたいと思う。


雇用統計は予想を下回るも、米経済は復調傾向

まず、4月雇用統計の結果であるが、非農業部門雇用者数は前月比22万3000人増で、失業率は5.4%となった。かい離は小さいものの、非農業部門雇用者数は市場予想を下回り、良好な結果とは言い難いものの、前月が8万5000人増に止まったことを考えれば、FOMCの米国経済の失速は一時的要因という認識は妥当なものだったと言える。


米国株は年内に下落トレンドへ転換か

そうすると、今後の株式市場や為替市場はどのように動くのだろうか。イエレンFRB議長は6日、米国株式相場について「I would highlight that equity market valuations at this point generally are quite high」(株価は割高)と述べた。

同時に、「FRBが利上げの決断をした場合に、金利急騰のリスクが無いとは言えないが、市場が混乱しないようにFRBが金融政策を明確に説明することでそのようなシナリオを回避する。現状、バブルの兆候も見られない」とも発言しており、今回の雇用統計を踏まえて素直に解釈すれば、近い将来の利上げと株価の下落を意味しているだろう。直近の株式相場は市場予想を下回る雇用統計となったことで、早期利上げ期待が後退して過剰流動性相場が継続することから、株高で反応していた。

しかしながら、6月利上げというシナリオが後退しただけで、米国経済の復活とFRBによる利上げは確実に近付いている。そして原理原則通り「金利が上がると株価が下がる」はずだ。米プライマリーディーラーの予想でも多くの会社が9月の利上げを想定しており、年内に2度金利を引き上げるとの見方を示している。これらを考えれば、米国株は遅くとも今秋から一時的に下落トレンドに入ると見て良く、暴落となるのかそれともソフトランディングとなるかはFRBのかじ取りが重要となるだろう。


円キャリーで更なる円安へ

では、為替市場はどうだろうか。前述の米プライマリーディーラーの予想通りであるならば、9月から利上げが行われて日米金利差が拡大することとなる。日本は4月30日の

日銀金融政策決定会合でも現状維持が発表され、物価上昇見通しを引き下げただけでなく追加緩和期待さえもあったことから、米国と異なり出口戦略を考える段階まで進んでいないことを考えればなおさらだ。

為替レートの決定理論はいくつかあるが、金利平価説(2国間においてどちらの国の通貨を保有しても収益率が変わらないように為替レートが決定されるという理論)通りに相場が動くのであれば、今後は円高(ドル安)となるはずだ。しかし、短期的には円キャリートレード(低金利の通貨で資金調達を行い、高金利の通貨で資金運用をすることで利鞘を得るトレード手法)が復活すると考えられ、円安トレンドが継続することが想定される。