◎NOI利回り


NOI(Net Operating Income)とは不動産の賃料収入などから得られる収益から管理運営費用等を控除した純営業収入の事です。NOI利回りとはNOI(純営業利益)を物件価格で割る事で求められます。
A物件とB物件を例に挙げて見ていきましょう。

まずNOIを求める為に空室率と管理運営費をチェックします。

A物件の場合、平均居住年数2年ですので年間解約率は50%、年間空室期間は1ヶ月ですので1/12となり、50%☓1/12=4.17%。
B物件の場合、平均居住年数2年ですので年間解約率は50%、年間空室期間は3ヶ月ですので3/12となり、50&☓3/12=12.5%。

年間空室損額で比較すると、A物件3万円に対してB物件は9万円にもなります。

次に管理運営費ですが、これは固定資産税や管理・修繕費、広告料などケースバイケースになってきます。
今回は仮にA物件29.5万円B物件49万円必要だったと考えます。どちらも年間賃料は72万円ですので、A物件の運営費は40.9%、B物件は68%となります。

これらを踏まえてNOI利回りを算出する為の式、営業純利益=年間賃料-(空室損+運営費)、NOI利回り=営業純利益÷物件購入費用に数値を当てはめると、下記のようになります。

A物件:720,000-(30,000+295,000)=395,000÷8,000,000=4.94%
B物件:720,000-(90,000+490,000)=140,000÷4,000,000=3.50%

NOI利回りに焦点をあてて見てみますと、A物件の方がB物件よりも利回りが高くなりました。

このように、表面上ではB物件の方が利益率が高そうに見えても、空室率や運営費を考慮するとA物件の方が利益率が高いという事になります。
不動産物件購入で大切なのはこのNOI利回りです。表面利回りでは利回りが高くても、NOI利回りが低いと利益率の高い良い物件とは言えない事にご注意下さい。


◎投資利回り


最期に投資利回りについてもご紹介しましょう。全額自己資金であれば、不動産物件の価値はNOI利回りで判断出来ます。しかし借入がありローン返済が生じる場合には年間負債支払額を無視するわけにはいきません。

投資利回りは営業純利益(NOI)から負債支払額を引いた額を自己資金で割った額です。

例えば1億円の物件を自己資金1億円で購入した場合は、営業純利益700万円とするとNOI利回りは7%です。しかし同じ1億円の物件を自己資金4000万円、借入6000万円で購入すると、年間負債支払額341万円として営業純利益の700万円-341万円÷自己資金4000万円で=投資利回り8.97%となります。

このように、不動産物件を購入する際の自己資金額によっても、利回りは変化します。

今回は物件購入時の利回りについてご紹介致しましたが、いかがでしたでしょうか?
不動産物件は大きな買い物であるが為に、リスクは負いたくないものです。不動産物件購入の際にはわかりやすい表面利回りに注目しがちですが、正しく物件を評価するにはNOI利回りも考慮する事が大切と言えるでしょう。また、購入時の自己資金額によっても利回りは変化しますので、専門家と相談しつつ確実に利益の出る物件購入を検討される事をおすすめします。

【参考】
不動産オーナーの経営事情vol.1 〜切っても切れない税金の話〜
不動産オーナーの経営事情vol.2 〜事業承継問題〜
不動産オーナーの経営事情vol.3 〜法人化による相続税対策の検討〜

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