ブラック企業のイメージも、基点は社内の従業員・非正規雇用者から

この視点で思い返してみると、ここ数年増えているブラック企業のイメージ醸成も、基点はほぼすべて従業員や元従業員、非正規雇用従業員からの発信情報からだった。

商品やサービスを利用している消費者からのコメントもさることながら、内側で役務を提供している従業員の証言と評判ほど信憑性の高いものはない。すでに一般生活者がこの部分に大きく着目している点を、企業はより深刻に受け止める必要があるだろう。


グローバルの先進企業ではCCO設置の動きも

今回の日本法規情報の調査は国内市場が対象だが、インターネットが発達した現在ではこの流れは先進国を中心に世界的な潮流になりつつある。顧客とのコミュニケーション接点をどのように最適化し、ネットでのレピュテーション(評判・噂・風評)リスクにどう向き合いどう低減させていくか、企業は真剣に考えることが急務となっている。

先進的なグローバル企業では、すでにCCO(チーフ・コミュニケーション・オフィサー)を設置し、ネット上での厳しい評価に対応しはじめていた。たとえばオラクル社では2013年にCCOポジションをいち早く設置し、ステークホルダーとのコミュニケーション関係を統合的にコントロールしている。国内ではCMO(チーフマーケティングオフィサー)さえまともに設置できておらず、CCOの設置はさらにハードルが高い中、すでにグローバル企業はリスクに敏感なグローバル企業は先行しているのだ。


SNSをマーケティング面だけで評価するのはきわめて危険

ソーシャルメディアの発展で、国内ではもっぱらマーケティングのための新しいメディアとして活用することだけが取り沙汰されている。いわばポジティブインパクトだけが評価されているわけだが、実はプラスに働くボリュームとほぼ同じ位のボリュームで、ネガティブなイメージを形成させるインパクトを持っていることを認識しなければならない。

特にネガティブインパクトをもたらすのが現在・過去の従業員となれば、まずコミュニケーションレベルを向上させなければならないのは社内の人間ということになる。

国内の主要新聞社やTV局などは、SNSのスタート時期において従業員には利用させないことでリスクを乗り切ろうとしたが、結果まったくの徒労の終わったことは記憶に新しい。一方でインドのIT企業にエンプロイーファーストを打ち出し、米国の経営学者から注目を集めた企業が存在する。消費者以上に気を使い、コミュニケーション上で齟齬を発生させないようにすべきなのは、まずは内部の従業員なのだ。

ブランドマネジメントという視点でSNSの利用をどのように考え、誰がそのコミュニケーションコントロールに責任を持ってステークホルダーとの関係維持に努めていくか、国内企業も真剣に考える時期が到来している。(ZUU online 編集部)

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