マーケティング上の付加価値とは“顧客満足度”

もちろん、高価格・高付加価値戦略のすべてが成功しているわけではない。そこで、価格に見合った高付加価値商品ならば高価格でも客数を減らさず売り上げを確保することができるのか、また、収益が確保できた企業の成功の原因は何だったのかを、マーケティングの視点から考えてみる。

一般にマーケティングでいう付加価値とは「需要者にとってのその商品の金銭的価値以上の満足感全体」を指す言葉であり、もともと商品の心理的価値に重点を置いた考え方である。すなわち、“顧客満足度”を上げることが付加価値を上げる、ということを意味している。

最近の“付加価値”に関する一般的な議論ではこの心理的価値の部分を省いた議論が多く、高付加価値という言葉がやや混乱して用いられているように見受けられる。

本来、商品の価値は顧客満足度によって測られるもので、顧客満足度とは
1)付加価値の核となる商品の機能、性能、品質、安全性など本来商品がもたらす“ベネフィット”という基本的な価値
2)その商品のブランドがもたらす情報、イメージの価値
3)その商品を購入した目的、場所、タイミングに関わる価値
4)その商品を所有することに対する他者からの評価によって発生する価値
などによって複合的に決まるものである。


複合的な“満足感”が高価格の壁を突き崩す

わかりやすい例で言えば、ホテルで飲むコーヒーは普通のスタンド型のチェーン店舗のコーヒーに比べ、数倍以上の価格である場合が多い。それでも十分に成り立っているのは、そのコーヒーには味だけではない価値が見出されているからだろう。店舗の高級なインテリアや家具・器などの雰囲気に加えて、サービス提供者の丁寧な接客態度などがホテルのブランドとともに価値として認識されて、価格を上回る十分な満足感を与える。だからこそ、ビジネスが十分に成り立つ数の顧客が存在するのである。