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(撮影:大川 佑)

最近の小売業界では、消費税増税や円安の逆風にも関わらず、商品単価を上げる戦略で成功を収める企業が注目を集めている。


高価格なラインアップで成功するセブン-イレブンやユニクロ

たとえば、セブン-イレブンを展開するセブン-イレブン・ジャパンでは、PB(プライベートブランド)商品に力を入れ、高品質を付加価値にして高価格で販売するという戦略で、見事に売り上げと収益の両方を上げている。同社は高付加価値商品としてのPB商品を「セブンゴールド」シリーズとして4年前に「金のハンバーグ」から発売を始めた。

「ワンランク上のちょっと贅沢」なものが欲しいというターゲットの潜在ニーズを掘り起こすというのが同シリーズのコンセプトで、NB(ナショナルブランド)とのカニバリゼーション(競合)を避けながら、NBメーカーの持つ未利用の商品開発力をフルに活用した最高品質のPB商品によって高い満足感を得られる商品を提供するという戦略である。

その後、金のビール、金のおむすび、金のアイス、金の食パン、金のビーフカレー、金の麺などが続き、現在40品目で200億円を売り上げ、2015年中には300品目に増加させる目標を立てている。いずれの商品も価格は従来品の1.5倍から2倍の高価格であるが、購入者の満足度は高くリピートが良好な商品に育っている。

また、カジュアル衣料のユニクロを手掛けるファーストリテイリング <9983> では、消費税増税への対応策として値上げを行ったが、一方で、2013年秋冬シーズンから従来のヒートテックの約1.5倍の暖かさが売りの新商品『ヒートテックエクストラウォーム』を商品ラインに加えて高価格・高付加価値戦略を採用し、顧客離れを防ぐことに成功した。

さらに、良品計画 <7453> では、その高価格戦略とは、ユニクロのコア商品である「ヒートテック」での新需要を開発することである。原価アップのため、前年比10%のレベルでの値上げをせざるを得なかったユニクロは、経営の基本コンセプトである品質・価格・デザインのバランスをとるために、「付加価値」を上げて高価格化にシフトする戦略を選択した。「ヒートテック」の新需要とは、「より暖かくできる」ことを付加とすることである。

寒さを感じやすい中高年の需要者のニーズ、ウィンタースポーツにおけるより防寒に強くなるニーズ、寒冷地への海外旅行者の防寒ニーズなどの新需要を開発できる「エクストラウォーム」を付加価値とする商品を開発したのである。価格は1.5倍の高価格となったが、2015年8月期の決算での国内既存店の客数は微減でとどまり、売り上げは8.4%増、客単価は11.1%増の高業績となった。

消費税増税前から高単価の家電商品が好調だった上、カシミヤ製品など高価格で高付加価値の商品に注力したことで、販売単価の前期比3.6パーセント増を実現させ大幅増益に結びつけている。