メリットとデメリットを知っておく

クラウド技術のメリットは、なんと言ってもその規模で、利用者はまるで無尽蔵にあるかのようにリソースを活用できるのだ。もちろん必要な処理量には大小さまざまな規模があるのだが、必要なときに必要なだけの利用が可能で、たとえ突発的な処理量の増大があっても対応が可能になっている。

一方、技術的な留意点もある。たとえばデータは利用者の手元を離れており、直接管理することはできない。そもそも必ずネットワークを介した利用が前提となっているのだから、機密性について特段の注意などが必要になる。こうした理由からクラウド技術の運用者は、信頼のおける事業者でなくてはならない。


評価の高まる「クラウド企業」

今年1月、カリフォルニア州ロスアルトスを拠点とするクラウド企業「Box」が、ニューヨーク証券取引所に上場した。実は同社は2014年にも上場を試みていたのだが、当時同社が投資時期にあったことが事業モデルの収益性への懸念を呼び、「長い準備期間」を強いられていたものだ。

また、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は、米半導体大手インテルとの提携を拡大し、世界の通信事業者向けにクラウドコンピューティングを提供すると発表した。中国はかねてよりクラウド技術を重視する姿勢を示しており、同国企業がIBMやヒューレット・パッカード(HP)などの米国の大手ハイテク企業との連携を深めていることも見逃せない。

もちろん、IBMをはじめとした米IT大手企業も自身でクラウドサービスを提供しており、IBMが2013年に買収したSoftlayerなどもパブリッククラウドを提供する事業部門として知られている。ほかにも、米 Amazon のAWS や Microsoft の Azure も大きなライバルだといっていいだろう。