中国で海外子会社を設立するとしたら

次に中国において海外子会社を設立した場合、決算及び法人税申告に際して、どのような手続きが必要となるかを見ていきたいと思います。

中国本土では、法人税は企業所得税と呼ばれており、中国の法制度にもとづき設立された法人について全世界の所得を対象として課税されます。この企業所得税納付は、日本と同様に会計年度終了に伴い、決算により対象年度における課税所得を計算します。監査を実施した後、確定申告を行い、税金を納付するという流れになります。

その具体的な実施項目を以下に示したいと思います。

1.決算

まず会計年度終了後、決算書を作成する必要があります。中国では2007年からIFRSに準拠した「企業会計準則」に従った決算書の作成が定められています。ただし「中国基準」と「IFRS」の間には一部の会計処理において異なる処理が規定されていることに注意が必要でしょう。

2.会計監査

決算書が作成できたら次に、決算書の監査を行います。中国における決算書の監査は監査証明資格が中国登録会計士に限定されており、日本の公認会計士では監査を実施することができないため、現地で信頼できる会計事務所を見つけることが重要となります。

3.確定申告

会計監査により、決算書の数値が確定した場合確定申告を行います。この確定申告に関してはインターネットを通じた方法と直接主管税務機関で行う方法があります。

現在、中国では多くの地方でインターネットを通じて確定申告ができるサービスが提供されています。

例えば上海市では「上海財税ウェブサイト」のネット税金処理のページから企業所得税計算用のアプリをダウンロードして、「企業所得税年度納税申告表」と「居住納税人財務会計報告」のデータを入力後、電子申告企業端末ソフト「eTax@SH」を通じて主管税務機関へ転送することで、企業所得税年度納税申告を実施できるサービスを提供しています。

ただし納税企業の業務が「ハイテク技術」、「ソフトウェア」などに係る場合には、対象の技術に基づく製品・サービスの売上、研究開発費など追加入力が必要となる項目があります。また上記の入力に加え、申告内容によっては納税申告資料を提出する必要があるので、詳細を現地の会計事務所に確認し、十分に理解しておきたいところです。