日本の経済や社会への先行き不安、相続税対策、物価水準が異なることによる生活水準の改善、純粋な欲求等の理由で、日本を出て海外移住をお考えの方も多いのではないでしょうか。

今回は、特に退職後の生活を海外で送ることに関心のある方に向けて、オセアニア・欧州・アジア・北米・中南米ごとにそれぞれの地域で移住先として人気の高い国の概要や、移住の手続き(査証や永住権、不動産の購入になど)についての比較を簡潔にまとめました。

◯アジア

温暖な気候や安い物価が魅力的で、また、私たち日本人と同じアジア人であるゆえに、食文化などの生活面や仏教などの宗教面においてアジアの国々は相性がいいと言われています。
近年、日本人の退職後の移住先としても高い人気を集めており、インフラ面では発展途上の地域も多いものの経済も成長中の国が多く、勢いを感じる地域でもあります。

【フィリピン】

El Nido, Palawan

2011年5月より永住プログラムが預金5万ドルから、2万ドルへ引下げられました。
移住者の呼び込みに積極的で、人気を集めています。

①概要

人口:9401万人
面積:29万k㎡
首都:マニラ
宗教:キリスト教
言語:フィリピノ語、英語

・東京、または大阪からは約4時間の距離。
・約1万8000名の邦人が在留しており、内70%以上は長期在留者で日本人が多い。
・日本からの旅行者も多く年間35万人前後が訪れる。
・10年程前に移住ブームがあり、その時期に移住したものの、所持金を使い果たし、「困窮邦人」として在外公館に助けを求める人が急増している(この中には、国際結婚によって、財産を使い果たした人も含まれる)。

②観光査証、または長期滞在

・査証免除は21日間の滞在と3ヶ月までの延長。
・観光査証は59日間の滞在と1年までの延長が可能。

③永住権やリタイアメント査証など

・35歳以上の人を対象とした特別永住プログラムが知られている。
・2011年5月より、対象となる現地預金規定が5万ドルから2万ドル(約160万円)に引き下げられた。このため、フィリピン移住者の急増が見込まれる。

④不動産の取得

・コンドミニアムなどの共有物件を除き、外国人の土地付き住宅の所有は認められていない。

⑤生活・治安・その他

・1ヶ月10万円以内で普通の生活が成り立つが、安く良質な住宅の確保が鍵となる。外国人向け賃貸し物件は高い。
・治安が悪いイメージが強いがリゾート観光客の増加に伴い改善されてきている。
・マニラの一部では注意が必要。地方によって、治安環境は異なる。

駐日フィリピン大使館

【ベトナム】

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土地付き住宅が自由に買えない共産国という特徴があります。
国民の教育レベルが高く、今後の日系企業の進出加速が予測される地域です。

①概要

人口:8579万人
面積:32万k㎡
首都:ハノイ
宗教:仏教
言語:ベトナム語

・東京からの距離は6時間程度。
・在留邦人は約7800名と少なめだが、今後の経済交流の進展により増加が見込まれる。
・中国と同様、国家体制は共産主義。経済の一部は解放されているため、お金に執着する市民も多いが、日本人を魅了する不思議な魅力がある。
・食事は日本人の味覚に合った美味しさ。屋台や地元食堂でも日本と変わらない美味しいお米とおかずが味わえ、茶漬けと言う食習慣もある。

②観光査証、または長期滞在

・15日間の滞在は査証免除。観光査証は30日間、60日間、1年間の滞在が出来るものがある。
・30日査証で入国した場合は、1回30日の延長手続きが2回まで認められている。

③永住権やリタイアメント査証など

・1年以上滞在する場合は現地の公安局で一時在留証を申請。有効期間は1〜3年で更新不可。3年を超える滞在は在留証を申請する。

④不動産の取得

・コンドミニアムなどの共有物件を除き、外国人の土地付き住宅の所有は認められていない。

⑤生活・治安・その他

・1ヶ月10万円以内で普通の生活が成り立つのが魅力だが、住宅環境は悪く現地の人向けの良質な賃貸し住宅を見つけるのは難しい。
・外国人向け高級住宅はかなり家賃が高い。このため、賃貸し住宅の代わりに良質なゲストハウスに宿泊するケースも多い。
・都市部ではバイクを使ったひったくり等被害に遭う日本人が多い。地方にいく程、治安環境は良くなる。

駐日ベトナム大使館

【タイ】

Bangkok

日系企業も多く、月10万円で生活出来る生活費の安さが魅力です。
日本食店も多く暮らしやすいという評判です。

①概要

人口:6338万人
面積:51万k㎡
首都:バンコク
宗教:仏教
言語:タイ語

・在留邦人は約47000名と他のアジアの国と比較しても多め。
・年間旅行者数98万人と日本人に人気の観光旅行先。
・東京からの距離はバンコクまでで約7時間。
・仏教に根ざした国である事から日本人にとっては親しみやすいことも人気の背景にある。
・進出している日本企業や在留邦人も多いため、日本食品専門のスーパーもある。

②観光査証、または長期滞在

・空路入国の場合は査証免除で30日間の滞在が許可されるが滞在延長手続きは出来ない。
・30日を超える滞在は観光査証の取得が必要。観光査証は60日間の滞在となり、1回限りのシングル査証のほか、複数回入国出来るタイプもある。

③永住権やリタイアメント査証など

・リタイアメント査証は50歳以上で80万バーツ(約200万円)の現地預金のある人、または月6万5000バーツ以上の年金受給者が対象。
・他に5年更新の会員制特別優遇プログラムがあったが、タクシン元首相の発案であったため、政変によって募集は休止されている。

④不動産の取得

・コンドミニアムなどの共有物件を除き、外国人の土地付き住宅の所有は認められていない。

⑤生活・治安・その他

・家賃等を含め、1ヶ月10万円前後で普通の生活が成り立つのが魅力。安くて良質な賃貸住宅は比較的豊富。
・時々政変の混乱が日本でのニュースとなるが現地の一般生活者に混乱はない。
・日本人観光客が多いので、日本公館に援護を求める人も多く、バンコクの日本国大使館は10年以上在外公館の邦人保護件数がトップを占めていた。
・また都市と地方では治安環境に大きな開きがあり、地方に行くほど治安は良好。

駐日タイ大使館

【シンガポール】

SIngapore

ビジネス環境に恵まれ、治安の良さや生活環境が整っている国。
またビジネスだけでなく、家族で長期滞在する国としても、非常に人気が高い。

①概要

人口:518万人
面積:710k㎡
首都:シンガポール
宗教:仏教、イスラム教、キリスト教、道教、ヒンズー教
言語:国語はマレー語(公用語として英語、中国語、タミール語も)

・日本からの距離は約7時間であり、年間の訪問者数は50万超。
・在留邦人は2万6千名と人口や面積と比較すると多め

②観光査証、または長期滞在

・日本国籍を有する場合は3ヶ月以内の滞在であればビザは申請不要
・ただし、入国時に認められるのは空路なら30日、陸路なら14日まで。
・それ以上の滞在を希望する場合は、別途延長手続きが必要。

③永住権やリタイアメント査証など

・下記のいずれかの条件を満たす必要がある。

1 最低250万SGDで新規事業を立上げるか既存事業の拡大に投資できること。
2 最低250万SGDを政府承認のシンガポールのベンチャーキャピタルファンド又はシンガポールにベースをおく経済開発を目的とする財団や信託に投資できること。

④不動産の取得

・シンガポールの土地所有は原則国有。
・外国人の土地所有は認められていない。

⑤生活・治安・その他

・生活費は高め。
・治安は非常に良く、また医療技術も進んでいる為、生活面での不安は特に無い。

駐日シンガポール大使館

【マレーシア】

Perhentian Paradise

海亀産卵地としても有名で、リゾートにうるさい欧米人からも人気の高い大小2つの島からなるぺルハンティアン島や、美しい砂浜や珊瑚礁が魅力的な東海岸にある海洋公園内のレダン島など、美しい島々が魅力的な国。
ダイバー等への人気が大変高い。

①概要

人口:2860万人
面積:33万k㎡
首都:クアラルンプール
宗教:大半がイスラム教徒、一部仏教徒等もいる
言語:国語はマレー語(英語、中国語も)

・日本からの距離は約7時間半程であり、年間の訪問者数は40万超。
・在留邦人は1万人程。

②観光査証、または長期滞在

・日本国籍を有する場合は3ヶ月以内の滞在であれば査証は免除。
・ただし延長は出来ないため、再入国が必要となる。

③永住権やリタイアメント査証など

・50歳以上の場合、下記の条件を全て満たす必要がある。
・月1万リンギ(約28万円)以上の収入。退職者の場合は公的年金収入。
・35万リンギ(約1000万円)以上の資産証明(預金・株券・不動産など)
・15万リンギ(約430万円)以上の現地定期預金
・ここ10年で3度程変更されている為、今後も変更が無いか注視が必要。

④不動産の取得

・土地付き住宅については政府が認める物件に限り購入可能。
・外国人個人名義での土地だけの購入は認められていない。
・住宅購入後3年間は売却不可だが、1人2軒までの購入可。
・500万リンギ(約1億2500万円)を超える物件については外国投資委員会(FIC)の承認が必要。

⑤生活・治安・その他

・医療費のほとんどを国費でカバー、このため公立病院の医療費・個人負担はとても少ない環境。
・マレーシアは生活費が安いと言われているが、ゆとりある暮らしをと思うと日本円で15万円以上は必要。

駐日マレーシア大使館
〒150-0036 渋谷区南平台町20-16
tel 03-3476-3840

【香港】

Hong Kong Harbor

都市として比較すると、在留邦人の多さでではトップ5に入る程の日本人から人気の都市。
日本人向けのインフラも多く整っている事が魅力。

①概要

人口:700万人
面積:1103k㎡(東京都の約半分)
首都:ー
宗教:仏教
言語:広東語、英語、北京語

・東京からは約5時間の距離で在留邦人は2万人以上と多め。
・ジャスコ、ユニーなど日系スーパーをはじめ、郷土料理店を含んだあらゆる日本レストランがある。
・日本人からの人気が大変高い地域。

②観光査証、または長期滞在

・3ケ月以内の観光目的の場合は査証不要だが、出国用航空券が必要。
・中国本土に入る場合は別途中国査証規定が適用される。
・査証免除で入国後、香港特別行政区政府の入境事務処(Immigration Department)にて手続きすれば、最長3ケ月間の滞在延長が可能。

③永住権やリタイアメント査証など

・香港政府指定の投資先に650万HK$(約6500万円)以上を7年間投資継続すると得られる投資永住権が得られる。
・投資金額とは別の生活維持のための資産や所得があること、他国の永住権を所持していないことなどが対象条件となる。
・また他に7年以上継続して香港に居住し税金を納付している外国人を対象にしたもので、1年に1回香港に入れば無条件でもう1年査証が更新されるという無条件査証がある。
・無条件査証取得後に、永住権の申請は可能だが、認可は事実上中国血統系に限定されている。

④不動産の取得

・土地全てが政府所有であるため、外国人および外国企業の土地所有は認められていない。
・ただし、賃貸物件の外国人規制はまったくない。

⑤生活・治安・その他

・24時間日本語ホットラインを提供している「実施香港急症中心 EMCHK」等、日本人向けの病院が充実している。
・生活費は日本並みで、特に家賃は高め。

中華人民共和国香港特別行政府

BY  TOMB