今回の記事は、富裕層のビジネスマンの配偶者について。
外務省発表の平成24年度の「海外在留邦人統計」速報によると、平成23年10月現在、海外在留の邦人の人数は118万人(内、永住者は約40万人)。そのうち、民間企業関係者で海外に在留している人とその家族は42万人にものぼるそうです。
インターネットの普及や交通網の発達などで、「世界は狭くなった」と言われていても、異国の地で生活するというのはとても大変なものです。言語はもとより、食べ物から生活習慣、インフラに至るまで日本とは根本的に勝手が違い、精神的にも肉体的にも順応するにはかなりの時間が必要です。そして、たいていの場合会社から辞令が出るのは唐突なもの。事前の下調べが満足にできるとは限りません。
そこで、今回は、世界を舞台に活躍するビジネスマンの妻として母として、夫の赴任で海外に暮らすことになった場合に知っておくと役に立つポイントをお届けしようと思います。
語学力はマスト
当然のことですが、日々の買い物、通院、公共交通機関の利用、どんな場面でも現地語は必要不可欠。もちろん、英語圏以外で英語が話せる人は存在しますが、地方都市であったり、赴任先の学校教育によっては、現地語しか通じない場合も多くあります。
会話がスムーズにできるレベルになるのは、現地に行って生活してみてからでも遅くはありませんが、
最低限の挨拶や日常的に使用する言葉(数を数える、注文する、住所を伝えるなど)は渡航前に覚えておくと良いでしょう。
赴任前はやることが多すぎて勉強どころではないですが、最低限の会話ができるだけで、着任直後から始まる生活のセットアップがスムーズになります。また、現地の言葉がしゃべれないことで、後段でお話する日常生活でのトラブルにもつながる可能性もあります。
1カ月もあれば、上記の最低限のフレーズは覚えられるはず。「(英語圏でなくても)英語だけで生活できるよ!」というアドバイスもあるかもしれませんが、のちのちの自分のために覚えておくべき事項です。就学しているお子さんも帯同される場合は、語学ができれば生活のセットアップのスピードが格段に違います。ぜひ一緒に勉強できると良いですね。
【参考】
NHK語学番組表
海外生活でのトラブル、こんなことまで・・・(1)家族のケア
海外で生活をスタートさせるにあたって、
現地での生活について疑問があったり、困ったことがあったりした場合は、前任者の奥様に聞いたり、SNSで赴任する地域のコミュニティを探して聞いてみたりとする人が多いようです。
また、日本人が多く住む地域には日本人向けの情報誌があったり、インターネットで情報配信しているサイトがありますので、日本に居る間に住む地域の情報を集めておくとイメージしやすいでしょう。
現地で生活のセットアップを始めると、「日本は何て素晴らしい国なんだ」と感動することがしばしば。日本のサービスの質の高さとスピードには世界中のどの国も敵わないと思います。私の場合は、インターネットを開通するのに2カ月、銀行の口座を作るのに1カ月掛かり、バケーションシーズンだと、それにプラス2週間は掛かります。
外国人カードを作る時にも、まったく理解できない現地語と格闘して、間違った記述で提出したために最初からやり直し、ということもありました。最終的に日常生活のリズムを作るのに赴任後4~5カ月ほど必要でした。
このように、主婦である自分自身も環境の変化に戸惑うことがたくさんありますが、同様に生活が軌道に乗るまでは配偶者・子どもにも精神的な負担が掛かります。そこで、
オススメしたい精神安定剤として、「家庭料理」があります。
日々の生活が上手く回り始めるまでは、外食に頼りたくなるものですが、
家族は日本で慣れ親しんだ味や食卓の雰囲気を感じることで、安心を得ることができる
はず。
ただし
「やらなければならない」「私が頑張らなければならない」という気持ちは禁物。
知らないうちに自分の心にも負担がかかって、鬱になってしまう場合も。なかなか現地になじむことができず、赴任後3カ月ほどで日本に帰ってしまった友人もいましたし、聞いた話ではストレスで亡くなってしまった奥様もいらっしゃるとか・・・。
「ま、いいか」「適当に」と自分の心に負担をかけない癖をつけましょう。
家族のケアは、自分の精神的安定が不可欠だということをお忘れなく。
【参考】
厚生労働省 「こころの耳」