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(写真=PIXTA)

6月5日、ソシエテジェネラルのチーフエコノミスト会田卓司氏が、メディア向けに「アベノミクスに関する長期的展望」を述べた。デフレ完全脱却に向けてこれまでも策が講じられたが、結果的には、道半ばで終わってしまっていた。

会田氏は、今回は「デフレ完全脱却が見えてきている」と、力強い言葉で語った。さて、今回はどこが決定的に違うのだろうか。ポイントを4つ挙げた。


ネットの国内資金需要の復活

「一つ目が、今回のデフレ脱却が前回までの景気回復とは全く違うポイントで、ネットの国内の資金需要が復活をしたことです。それによってお金が回るようになり、マネーが拡大するようになりました」

GDP対比何%の赤字かを示す財政赤字は1981年から増え続け、バブル期以来黒字になったことがなく、日本の財政は相当悪いといえる。エコノミストの中には「早く消費税を20%にしないと日本の財政は破綻するかもしれません」という人もいる。

だが、会田氏はあまり財政赤字を心配しない派に属するエコノミストで、企業貯蓄率という指標を重要視しているとのことだ。

これは「[(金融資産の変化)―(金融負債の変化)]/名目GDP」という式から求められた指標だ。

「この企業貯蓄率と財政収支というのは1981年から見て、きれいな逆相関を形成しているというわけです。企業貯蓄率が上昇すると、企業のデレバレッジやリストラが強くなってきますので、内需が破壊されて、デフレも悪化します。結果として税収が急激に落ち込むなどして財政赤字が増えます。でも企業貯蓄率が下がってきますと、景気、物価動向は上昇するわけですから、税収が増加して財政赤字が、減ってきます。こちらの因果関係の方が強いのではないかと思います」