だから、増税財政再建よりも早くデフレ脱却と景気回復を行った方が良いという意見である。

一方、逆側は、因果関係が逆だと考える。企業が投資をしない、または家計が消費をしないのは将来に不安があるから。不安要素とは、例えば、財政赤字が大き過ぎて日本が将来破綻するのではないか、社会保障も信頼できない、といったものである。

それならば財政を早く再建をすることで、人々が安心をして消費を増やしたり、投資を増やしたりしてくれるはずだという。これは安心効果と言われている感覚で、先の消費増税を是としていた考えであり、日銀や政府のオフィシャルなロジックだった。

「国全体のネットの資金需要というのは、必ず政府と企業から出てきます。家計には住宅ローンのようなグループの資金需要はありますが、家計を全部集めてみますと、あくまで預金や保険を通したネットの資金の供給者という立場ですので、家計にはネットの資金需要はありません。ネットの資金需要をもってさまざまな部門から資金調達をして事業を行うのは、企業と政府だけです」

90年代までは、日本にもネットの資金需要が存在をし、お金が回り、信用創造で膨らんでいた。こういう状況であれば、もちろん名目GDPは膨らむし、株価の時価総額も膨らんでいくので、日本はデフレでない世界を構築できていた。物価も上がりやすい状況だ。

「企業の貯蓄率と政府の貯蓄率、財政収支の合計をとれば、国全体のネットの資金需要の強さが分かるのではないかというのが私のオリジナルな考え方で、トータルレバレッジ、ネットの国内の資金需要をベースにした考え方です」

しかし、特に1997-8年の金融危機以降はその構造がクラッシュして、2001~2003年あたりにほぼゼロになってしまった。ここが「日本からネットの資金需要が完全に消滅したという瞬間」と会田氏は見ている。

政府が独占的な借り手となり、長期金利が1~2%のレンジとなる。しかしこれは、貨幣経済が拡張するためには「最悪の事態」ともいえる状況だった。貨幣経済、例えばマネー、クレジット、名目GDP、株価の時価総額、不動産市況などが拡大するためには、バランスシートが膨らむ必要があり、その役割を果たすのが「ネットの資金需要」というわけだ。

ネットの資金需要がゼロであれば、マネーが膨らまない。結果として、名目GDPはフラット、株価の時価総額はフラット、物価は下落しやすい状況に陥ってしまった。 ( ZUU online 編集部)

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