金融政策
(写真=PIXTA)

6月18、19日の日銀金融政策決定会合は政策の現状維持となった。「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで」マネタリーベースを「年間約80兆円」増加させる現行のコミットメントを続ける。

日銀のコミットメントに反し、消費税率引き上げ後の需要停滞と原油価格の下落などにより、消費者物価指数の伸びが止まってしまっている。前年同月比では夏場には若干のマイナスまで落ち込む可能性がある。

しかし、ここ数回の決定会合で物価が若干下落することを既に織り込んでいることを公表したが、追加金融緩和をしなかったことで、早期の追加金融緩和の可能性は低下し、6月も政策は現状維持となった。

しかし、日銀が織り込んでいるとしても、実際に物価上昇率がマイナスとなれば、状況が変化してくる可能性が高い。物価が再び下落したという報道が多くなることにより、期待インフレ率が低下するリスクが大きくなるからだ。

昨年10月に日銀がマーケットの予想に反して追加金融緩和に踏みきった理由を、「原油価格の下落は、やや長い目でみれば経済活動に好影響を与え、物価を押し上げる方向に作用する。しかし、短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある」としていた。

4月の展望レポートでも、「現実の消費者物価の前年比が当面0%程度で推移することが、予想物価上昇率の上昇ペースに影響するリスクがある」と指摘しており、同じよう状況に陥り、同じロジックによる金融緩和期待がマーケットで高まれば、日銀が追加金融緩和に踏み切る可能性があることが示唆されている。

1-3月期の実質GDPは前期比+1.0%と強く、これまで弱かった輸出と生産が堅調で、循環的な景気回復力は強くなってきており、昨年4月の消費税率引き上げ後からの景気のダウンサイドリスクは減じた。