◉ジョイフル本田の財務健全性について
財務の健全性を見る上で、当座比率とキャッシュフローを見ます。
【当座比率】
図5は、ジョイフル本田の連結貸借対照表です。
図5:ジョイフル本田の連結貸借対照表 出典:ジョイフル本田「有価証券届出書」
当座比率は、 当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100 で計算が可能です。当座資産は流動資産から直接換金しにくい棚卸資産などを除いたものです。分子を流動資産にして計算する流動比率も有名ですが、流動比率より厳密に短期の債務支払能力を測るために当座比率を使用します。
当座資産は、ここでは資産の部より「現金及び預金」と「売掛金」が概要し、合わせて73,959百万円になります。負債の部より流動負債は20,676百万円です。当座比率は357.70%に達し、少なくとも短期的には債務の償還能力が極めて高いと考えられます。
【キャッシュフロー】
次に、キャッシュフローを見てみましょう。図6は、ジョイフル本田の連結キャッシュフロー計算書です。
図6:ジョイフル本田の連結キャッシュフロー計算書 出典:ジョイフル本田「有価証券届出書」
営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフロー、フリー・キャッシュフローを整理したものが図7になります。
図7:ジョイフル本田のキャッシュフロー 出典:ジョイフル本田「有価証券届出書」より筆者作成 注:単位は百万円
営業キャッシュフローは大きくプラスになっており、内訳を見ても本業が好調である様子が伺えます。
投資キャッシュフロー自体はマイナスであり、投資活動が積極的な企業に特徴的な数値を示しています。しかし内訳を見ると、その大部分は定期預金の預入であり、設備投資などに当てているわけではないことが分かります。
財務キャッシュフローはマイナスであり、その主因は借入金の返済によるものです。
フリー・キャッシュフローはマイナスに転じていますが、多額の定期預金預入を行った事が原因であり、事業環境の変化に備えた現預金の確保に備えているという点で、そこまでネガティブに解釈する必要は無いと思われます。
◉ジョイフル本田の収益性について
収益性に関しては、利益率とEV/EBITDA倍率を見ましょう。
【利益率】
図8のジョイフル本田の連結損益計算書です。
図8:ジョイフル本田の連結損益計算書 出典:ジョイフル本田「有価証券届出書」
利益率に関しては、売上高営業利益率・売上高当期純利益率・総資産利益率(ROA)を見ましょう。それぞれの値を業種平均と共に比較したものが図9になります。
図9:ジョイフル本田の収益性 出典:収益性はジョイフル本田「有価証券届出書」より筆者計算。業種平均は REUTERS のデータを利用した。
どの利益率も業種平均を大きく超えており、事業の効率性は高いと考えられます。