鈴木雅哉社長
(写真=リフォーム産業新聞)

MonotaRO 鈴木雅哉社長
【プロフィール】
1998年立教大学社会学部卒。同年住友商事入社。2000年住商グレンジャー(現MonotaRO)出向。06年、住友商事新素材・特殊貿易部。同年楽天入社。07年MonotaROマーケティング部長。08年執行役マーケティング部長。12年、代表執行役員、社長に就任。


ネジ、ドリル、はけ...プロ向け商品900万点

ネジ、ドリル、はけ、など900万点もの工事・工場の現場で使われる間接資材をネット販売しているのがMonotaRO(兵庫県尼崎市)。リフォーム会社からは「どんなマニアックな商品を検索しても出てくる」といわれるほどの膨大な品数が売り。2014年12月期の売上高は449億円とこの3年で倍増。鈴木雅哉社長に独自のビジネスモデルを聞いた。

モノタロウ
間接資材の品ぞろえとスピード配送が強みの「モノタロウ」


150万に届く顧客数

◆「現場を支えるネットストア」というキャッチコピーがサイトの特徴を表していますが、通販サイト「モノタロウ」ではプロ向けに多様な資材を販売しています。

現状、900万商品を取り扱っています。私どもは製造業向けの商品から販売を始め、2009年頃から建築、土木、空調といった工事関係を始めました。1番のターゲットは製造業なのですが、工事業は2番目だと考えています。ちなみに3番目は自動車のアフターマーケット。工事業は売り上げもお客様の数も全体の2~3割というところですね。

◆商品のカテゴリーは「安全衛生」「梱包」「切削」「作業工具」など16種あります。

毎年新しいカテゴリーが増えてきました。それに伴いお客様は継続的に広がっており、もうすぐ150万もの方に登録いただけるまでになってきました。今は月間で3万のお客様にご登録いただいています。モノを買われるお客様の1回の注文の平均はだいたい1万円で、平均して月に2回購入されます。


モノを探す時間と手間を効率化

◆品ぞろえが強みの一つですね。

私どもが目指すところというのは、お客様が何かモノを製造する際に使われる直接資材以外の間接資材ならばどんなものでも販売したい、ということ。社員は220人おりますが、仕入れ担当が最も多く、ITエンジニアはその次です。どういう流通経路から仕入れて、いくらで売るかということがこのビジネスのカギで、いくら洗練されたマーケティングなどがあっても事業として続きません。

◆全国どの業者にも「ワンプライス」というのも特徴の一つです。

従来BtoBは、大概どんな商品であったとしても、売り手と買い手が最適な価格を採るために、価格交渉してきたんです。ただこれは人件費が安かった時。価格交渉をするコストがそんなに高くないので、例え100円の商品だったとしても、「この商品いくらになりますか」というふうに時間をかけて少しでも安く買う、ということに経済的な価値があったわけです。

しかし今はそうではない。それよりもむしろ、私どもは、どんな商品を、どれだけ早く出せるかが大事で、価格よりも利便性に価値があると考えます。

◆リフォーム業であればホームセンターで間接資材を購入するのが一般的です。

例えば、現場に行く前に立ち寄ってモノを買って行く。もちろん仕事として成り立ち得るならそれはそれです。ただ一方で、モノタロウは尼崎に物流センターがあり、注文すれば青森から鹿児島までは翌日商品が届く。また、ホームセンターで販売されている商品は多くて数万。私どもは900万。

そういう意味でいくと、何かモノが必要なときにモノタロウで探したら大概はあるし、探す時間や手間を考えてもモノタロウがいいと認識いただけているんだと思うんですよね。


購入確率を割り出す

◆カタログという紙の販促もしています。

私どもの強みはお客様のデータ分析。過去の購入履歴やウェブサイトの閲覧履歴、業種などのさまざまなデータから、このお客様がこのカテゴリーの商品を買われる確率とその金額というものを予測するんです。買う確率が高いお客様だけにカタログを送っています。

また、インターネットの検索はお客様が何かニーズがあって、その商品をキーワードやカテゴリーから探す以外は使いようがないんです。紙のカタログはぱらぱらめくるという習慣があるので、こんな商品があるのかと、商品を言葉で表せないケースに有用です。

◆今後工事業で強化していく点は。

温水便座や水栓とかは増えてきていますが、住宅設備はそれほど得意としていない。この部分をもう少し増やしていきたいなと思っています。(提供: リフォーム産業新聞 7月7日掲載)

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