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2004に有価証券報告書虚偽記載によって上場廃止になった西武鉄道ですが、その後のサーベラス・ジャパンによる出資による経営再建や組織改編を経て出来た西武ホールディングスが2014年4月23日に再上場する事になっています。

そこで今回は、西武ホールディングスの有価証券報告書等を元に、投資対象としての評価を試みます。

分析する視点は、

・市場動向

・財務の健全性:当座比率、キャッシュフロー

・収益性:売上高営業利益率、総資産営業利益率など

・株価水準:EV/EBITDA倍率

です。

結論を先取りすると、事業分野の成長の余地はありますが、財務・収益面ともに優れているとは言い難いので、株価水準が妥当とは言え上場時は大きく値上がりしない可能性があります。


◉西武ホールディングス(HD)をとりまく市場動向

西武ホールディングスは、「都市交通・沿線事業」・「ホテル・レジャー事業」・「不動産事業」・「建設事業」・「ハワイ事業」・「その他」と大きく分けて6セグメントの事業を行っています。

平成25年3月期の営業収益合計は4,592億2,000万円であり、その内訳は下図1の通りになります。

西武①

図1:西武ホールディングスのセグメント別売上高構成比

出典:西武ホールディングス(2013)「2013年3月期有価証券報告書」より筆者作成

鉄道やバスを中心とした都市交通・沿線事業、プリンスホテルを中心としたホテル・レジャー事業とハワイ事業、駅テナントを中心とした不動産事業、鉄道工事・住宅建設を中心とした建設事業が主たる事業になります。その他事業には、伊豆・箱根エリアにおける交通・レジャー・建設事業や、西武ライオンズの事業などがあります。

都市交通・不動産に関しては景気動向に大きく左右される点で、今後日本経済が回復していくとすれば、安定した成長が見込まれると考えられます。観光事業も世界的に伸びつつあり、円安傾向と新興国の成長が続けば、海外からの観光客が増加する事も見込まれます。西武ホールディングスの保有する不動産などが安定的に収益をもたらしているか、あるいは過剰投資でないかの注視は必要ですが、事業の傾向を見る限り、安定した収益があげられる可能性はあるでしょう。