◉西武ホールディングス(HD)株価水準

最後に、想定株価の妥当性を測る為に、EV/EBITDA倍率を計算してみましょう。EVは当該企業を買収するのに必要な額であり、EBITDAは利払い・税引き・減価償却前の利益であり、本業1年で稼ぐ事が出来る金額を示す。もし、企業を買収する場合、その買収コストを何年で回収出来るかを簡易的に計算する指標です。

分子と分母は、それぞれ以下のように計算出来ます。

EV = 時価総額 + 有利子負債 - 現金及び預金
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却額

想定株価は2300円であり、発行済株式総数は342,124,820株なので推定時価総額は7868億8708万6000円です。有利子負債は合計で7959億3200万円、現金及び預金は195億800万円なので、

EV = 8645億2948万6000円 です。

EBITDAのうち、平成26年3月期の業績予想より、営業利益は441億600万円、減価償却費は399億9000万円なので、

EBITDA = 849億9600万円 です。

よって、EV / EBITDA ≒ 10.17

となります。市場平均が7~8%、業種平均が11.3%なので、概ね妥当と言えそうです。


◉西武ホールディングス(HD)投資対象としての評価

ここまでの分析を整理すると、

・事業分野は幅広く、経済成長に合わせて成長する可能性が高い

・致命的ではないが財務面に少し不安が残る

・収益性は同業種と比較して高いとは言えない

・株価水準は妥当である

となります。

経済成長に合わせて本業が順調に成長していく可能性はありますが、財務面・収益面ともに現時点ではそれほど優れているとは言えないので、想定株価は妥当なラインとは言え上場初値はそれほど期待出来ないかもしれません。長期的には成長していく可能性はありますが、その場合は規模が大きな企業なら多かれ少なかれ同様の傾向を描くと考えれるので、一投資家として見た場合、それほど魅力的な銘柄とは言い難いです。

もし投資対象として検討するなら、上場後の株価動向と業績を見た上で、過小評価されているラインを探して投資するといった方法は有り得るでしょうか。

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参考文献

[1] 西武ホールディングス(2013)「2013年3月期有価証券報告書」(PDF)
[2] 西武ホールディングス(2014)「平成26年3月期及び平成27年3月期の業績予想について」(PDF)
[3] EDIUNET「当座比率ランキング(民営鉄道業)」

BY たけやん:経済学修士号取得後、株価推定事業・研究を行っている

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