・買ってはいけない株とは
NISA投資は利益確定の際の税金が免除される制度です。1年間で免除を受けられる金額には買い付け代金が100万円までという制限がありますから、NISA口座での投資はなんとしてでも利益を出せる銘柄を選びたいところです。
しかし投資で勝ち続けるのは思うよりも難しいものです。資産運用を成功させるためには、適切な銘柄選びと、いかに大きく負けないかがカギになります。当然どんな実績のある投資家でも負ける事はあります。しかしそこで資金を極力減らさないように守れるかどうかが後々の投資結果に大きく響いてきます。投資と呼ばれるものは300円で1億円を狙いにいく宝くじとは違います。投資家にとって元手の資金は戦場で戦うための武器のようなものです。普段着で戦場に行って、足下に転がっている石ころを敵に投げつけたところで大した戦果は期待できないでしょう。大きな利益を挙げる為にはなるべく多くの資金があるほど有利で、常にそれを減らさないように戦う事が大切です。
今回は
『NISA投資』
と
『資金を減らさない事』
という2つの視点から、買ってはいけない株というのをご紹介していきます。
①業績が悪い銘柄のネガティブサプライズ
買ってはいけない株の1つ目は下がりやすい株です。
そもそも株価が動く理由はたったひとつしかありません。誰かが買えば上がり、誰かが売れば下がります。株価が大きく動く例として企業の決算発表や各企業の合併、業務提携、増資などのニュースがあります。しかしソフトバンクが決算発表で前期比100倍の利益を公にしたとしても、投資家が見向きもしなければ株価は1円たりとも上がりません。同じく、ファーストリテイリングが突然ユニクロ事業全てをしまむらに100円で売却するというニュースが発表されたとしても、『まだGUがある!』と、株主が誰ひとりとしてその企業の価値を疑わず株を手放さなければ株価は昨日と変わらないわけです。
しかし実際には投資家はまわりを出し抜いてでも儲けたいと考えているので、常に何か良いニュースはないかとアンテナを立てています。一 般的に下がりやすい株とは、他の人が買わない株。言い換えれば買いたいと思わない株という事です。 ごくシンプルに言えば、その企業が成長を続ければ投資家が株を買いますから株価は上昇していきます。逆に業績が伸びなければ株価は下がります。
業績が悪い企業というのはほとんどの場合なんらかの問題があってビジネスがうまくいっていないという見方ができます。業種や規模の大小に限らずどんな企業も業績の目標を立てると思います。しかしビジネスが上手くいっていない企業は上手くいっている企業に比べて当初立てた目標を達成できない確率が高くなります。そもそも企業側も到底達成できそうもない目標は最初から掲げたりしません。かといってあまりにも低い目標を掲げれば投資家は企業の実力に株価が見合っていないと判断し失望感から売られてしまいます。ですからがんばればなんとか達成できる程度の目標を立てているのです。
しかしベンチャーだと思って歯牙にもかけなかった後発の競合企業にあっさりシェアを奪われたり、洪水や寒波などの天災で工場が操業停止になって商品が作れなくなってしまったりというのはよくある話です。こういった事が原因となり、どうも当初の目標を達成できそうもないと企業側が判断すると業績の下方修正が発表されます。これがマーケットでネガティブサプライズとなって株価が急落します。
そして一度業績の下方修正が発表されると株価は平均7営業日ほどは下げ止まらないというデータがあり、その下げ幅は10%に達してしまうこともあります。安いところで買って高く売るというのはよく聞く相場格言ですが、
割安感にこだわりすぎると資金を大きく減らしてしまう原因となる落とし穴が待っているかもしれません。
②業績が良い銘柄という安心感に潜むリスク
これは株式投資の経験がある方なら誰もが知っている事だと思いますが、業績が良くても株価は下がる事があります。
たしかに業績が良い企業は悪い企業に比べて株価が下がりにくいと言えますし、前述したような業績の下方修正も確率としては少ない傾向にあります。特にNISA投資は長期スタンスで保有していく投資家が多いですから、なおさら好業績を挙げているものを選びたいところです。しかし業績が右肩上がりだとしても、毎日必ず上がり続ける株というのも存在しません。一時的にせよどこかで下落する場面は必ずやってきます。保有している株が含み損を抱えてしまった時にできる事は事態が好転するまで待つのか、ロスカットをするのかの2択です。いくら好業績企業だとしてもすっぱりとロスカットができれば問題はありませんが、業績が良い企業の株ほどロスカットができないものなのです。なぜなら『業績が伸びているんだからまた株価も上昇するだろう』と思ってしまうからです。
実は好業績銘柄に潜むリスクというのはこのように業績の良さや将来性に惚れ込んでしまったが故にその銘柄に見切りをつける事ができなくなるところにあります。 ましてやNISA口座を使って投資している場合であれば、尚の事それが難しくなるでしょう。
2013年から本格化した円安などの影響によって2014年に入ってからも過去最高の業績をたたき出す企業が多く現れました。しかし株価は黒田日銀総裁が異次元金融緩和を発表した後の2013年5月の高値を超えられない企業が多く存在します。しかも日経平均株価は2013年末にはすでに5月の高値を抜いていたのにも関わらずです。このようにたとえ業績が過去最高を叩き出すほど好調であっても株価は買い手がいなければ上昇していかないのです。だからこそ 企業や業績にはこだわり過ぎず、過去最高益だろうと値動きが思わしくなければその銘柄をあきらめるも事も必要なのです。ロスカットをしない投資家は100%生き残る事ができません。 それは歴史が証明しています。プロと言われる機関投資家達もロスカットを必ずします。しかもスゴく頻繁にです。ちなみに損失と利益の割合はディーラーにもよりますが、1:2〜1:10くらいで、なかには1:20になるディーラーもいます。 損失はなるべく小さくして利益は大きく伸ばす。損小利大という考え方です。これが勝ち組投資家のセオリーです。