(写真=PIXTA)
リーマンショック以後、長期にわたって継続してきた米国の金融緩和が終わろうとしている。
金融危機以後、各国中央銀行は、緩和的な金融政策を維持することで、銀行セクターの脆弱性を軽減し、インターバンク市場やモーゲージ債市場を安定させた。
しかし、日本やECBにおいては前代未聞の低金利政策が現在も進行中であり、世界は今なお非伝統的な金融政策の出口を見つけられずにいる。異常な低金利の継続は金融の安定性が損なわれ、思わぬ副作用が発生するリスクもはらんでいる。
前代未聞の低金利が脅かすグローバル金融システムの安定
国際決済銀行(BIS)は、年次報告書で「世界の金利水準は低すぎ、金融の安定と経済成長へのリスクが急速に高まっている」と述べ、リーマンショック後の金融緩和が引き起こした低金利が、グローバル金融システムの安定を脅かしていると指摘している。
また、ECB理事会メンバーのリーカネン・フィンランド中銀総裁も、低金利がもたらす悪影響について、「金利が長期間非常に低い水準にとどまれば、リスクが生じる。注視していく必要がある」と述べた。
その他にも、G7後の記者会見で、ドイツ連銀総裁のバイトマン氏が「低金利状態が長引けば、金融安定リスクに決定的な影響が及ぶことは明白だ」と述べ、現在のような異例な状況が継続すれば、世界経済に混乱が生じる可能性がさらに高まるとの警告を発している。