現在の金融システムは持続可能か?

金融危機への対応として発生した官製バブルは、長期にわたる借金経済によるものであり、資産価格の現在の上昇は低金利が支える一過性の興奮状態に過ぎない。

著名債券投資家で、債券王の異名を持つビル・グロス氏は「超低金利は、多くの中央銀行が意図しているような成長支援を提供するのではなく、むしろ世界経済の成長を阻害する恐れがある」と語り、現在の超低金利がもたらす世界経済への悪影響について指摘している。

他にも、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏も、「米国の金利が現在の超低水準から通常の金利に戻れば、現在の価格にある株式が高く見えるだろう」と述べ、歴史的な低金利が終われば、現在の株式バブルが終焉を迎える可能性について示唆している。

しかし、軟調な経済環境の中で株価が過去最高水準を更新している状況を踏まえれば、利上げは容易ではないだろう。むしろ、利上げが景気を一段と後退させてしまうリスクこそ、慎重に議論されるべきといえる。


テクノロジー企業が世界のプラットフォームとなる?

歴史的低金利による現在のバブルがはじけたとき、世界はいまだ経験したことのない危機に見舞われることとなる。巨大金融機関に対する規制はさらに強まり、世界は再び信用収縮を経験することとなるだろう。

注目すべきは、規制でがんじがらめにされた巨大金融機関を尻目に、帝国化したテクノロジー企業が、世界のプラットフォームを握り、グローバル金融市場のメインプレイヤーとなる可能性だ。

中国電子商取引最大手のアリババ集団は、現在も金融事業を展開しており、オンライン決済や投資商品の販売、中小企業向けの融資事業などを幅広く手掛けている。このことから、アリババ集団がECモールを超えた「金融帝国」となる可能性も十分考えられるのだ。

プラットフォームをグローバルに展開するテクノロジー企業は、アリババ集団以外にも、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン等数多く存在する。

これらの企業は、参加している人の数だけで言えば、国家を凌駕するプラットフォームとなっている。その代表とも言えるフェイスブックには、世界中で14億人のユーザーが存在するのだ。

国境を越えて、人と人がインターネットでつながり、ネットワーク化されることで、彼らは国を超えた超国家的プラットフォームともいうべき存在になりつつある。金融分野において、彼らの影響力の増大は避けることができない流れなのかもしれない。

現在の歴史的低金利が生み出した緩和バブルに内在するリスクについて慎重に評価すると共に、帝国化したテクノロジー企業が世界のプラットフォームとなり、グローバル金融市場のメインプレイヤーとなる可能性についても考えを巡らせるべきときが来ているのかもしれないのだ。(ZUU online 編集部)

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