経済動向

2015年4-6月期は、日経平均株価が15年ぶりに2万円台に乗せるなど株式市場の活況に加え、円安の進展や訪日外国人旅行者数の増加等から上場企業の7割が前年同期比で経常増益(1)となるなど企業収益も好調で推移した。

一方で、海外ではギリシャ債務危機が再燃するとともに中国では上海総合株価が大きく下落するなどの不安定な動きが見られた。日銀短観(2015年6月調査)では、大企業の業況判断指数(DI)が製造業で+3ポイント、非製造業で+4ポイントの上昇となった(図表-1)。一方、景気動向指数(一致指数)は2014年4月の消費税増税後、わずかな上下変動がありながら緩やかな低下傾向が続いている(図表-2)。

図表1 2

ニッセイ基礎研究所が7月31日に公表した経済見通しによると、2015年第2四半期の実質GDP成長率は、海外経済の減速で輸出が減少したことなどから、前期比▲0.7%(年率▲2.9%)と、第1四半期の前期比+1.0%から大幅に成長率が低下したようだ(図表-3)。

図表3

輸出の減少(前期比▲3.3%)がマイナス成長の主因であるが、民間消費が大幅に落ち込んだこと(前期比▲0.6%)や設備投資の減少(前期比▲0.2%)、さらには2015年第1四半期が高成長であったことなども理由としてあげられている。7-9月期は民間消費、設備投資の増加からプラス成長に回復するとみているが、輸出の低迷はしばらく続く公算が大きく、下振れリスクは高いという。


建築コストの高止まりと建設業における人手不足の緩和傾向

2015年6月の完全失業率は3.4%(前期比+0.1ポイント)とほぼ横ばいで推移し、有効求人倍率は1.19倍と上昇が続いている(図表-4)。人手不足などから高騰してきた建設工事費は上昇が一服し、2014年12月頃からは横ばい(高止まり)の状況にある(図表-5)。

図表4 5

その背景には建設技能労働者の不足感の緩和傾向があるようだ(図表-6)。地域別にみても被災三県以外では厳しい不足感は緩和しつつあり(図表-7)、見通しについても「困難」(「やや困難」を含む)は8月で23.4%(前年同月は35.2%)、9月で17.5%(同26.9%)と前年から低下している(2)。

図表6 7


住宅市場

住宅着工戸数は、消費増税の駆け込み需要の反動減が一巡し、2015年3月より前年比で増加に転じている。2015年6月は前年比+16.3%(8万8千戸)の大幅な増加で、季節調整済み年率換算値は103.3万戸に達し、2013年12月以来の100万戸超えとなった(図表-8)。

このうち貸家は前年比+14.6%の3.6万戸(季節調整済み年率換算41.3万戸)、分譲住宅が前年比+31.3%の2.5万戸(同32.1万戸)だった。特に、分譲マンションは、高額物件に対する相続税対策による購入や円安による外国人の購入などが話題となる中で、前年比+82.8%(1.4万戸)の大幅な増加となった(図表-9)。

ただし、首都圏の分譲マンションの新規発売戸数は、近年で最も低い水準で推移している。6月までの販売戸数は1.8万戸でこれはリーマンショック直後の2009年の1.6万戸に次ぐ少なさである(図表-10)。

中古マンションの成約件数は、2014年4月の消費税増税時から前年比で減少が続いていたが、2015年4月に一年ぶりに増加に転じた(図表-11)。

中古マンションの在庫は6月に29ヶ月ぶりに前年比増加に転じたが、価格は2013年1月から30ヶ月連続で前年比上昇が続いている。東京カンテイの「中古マンション価格天気図」によると、6月に価格状況が改善したのは12地域(47都道府県中)、悪化したのは10地域であり、大都市や地方中枢都市で上昇傾向が見られる一方、他の地域では下落傾向が強く、二極化が進行している。

図表8 9 10 11