中・小型株投資の難点

株式市場は揺れるものです。どんな銘柄にも、上下動はつきものです。中・小型株ともなれば、相対的に流動性が乏しいゆえになおさらです。それに打ち向かうためには、PEGレシオを武器に中長期構えで取り組むのが、有効と考えます。

株式投資の世界には昔から、「株式を取得したら、せめて半年は新聞の株価欄はみるな」という教え!?があります。ある意味でこれは、投資家心理をついた鋭い教えだと思います。もうふた昔以上前になります。

1985年に野村證券の社長となった田淵義久氏に、こう問うたことがあります。「御社は若手の登用に積極的ですが、その意図するところを分かり易くご説明頂けないでしょうか」とです。即座に躊躇することなく、こんな答えが返ってきました。
「投資家というのは、買うまでは投資先企業の優れた点を必死に探します。ですがいったん買ってしまうと売るタイミングを逃さないように、今度は問題点を探し出すのです。物凄い変化です。そうした投資家の変化に対応できるのは、柔軟な頭の持ち主である若手しかいません」
まさに、投資家心理を見抜いた言でした。

中・小型成長株で資産形成を真摯に考えるなら、まずは並の投資家心理から自身を止揚することが、絶対条件です。

パラマウントベッド

時価総額や流動性から中型株に分類される企業に、パラマウントベッドホールディングスがあります。
パラマウントベッドを主要企業として傘下に収めた、持ち株会社で上場したのは2011年10月です。従って、持ち株会社化後のEPSの推移は、アナリストの今・来期予想を含め4期に止まります。
仮に同社株を昨年9月の終値2565円で100株取得していたとすると、投下資金(25万6500円)は配当を含め31万円を超えています。2割近いパフォーマンスです。今後の株価動向が、大いに気になるところです。

技術力を物語る歴史的事由

同社は一口で言うと、介護・医療用ベッドで7割のシェアを誇るNO1企業です。シェア7割の背景が技術力にあることは、次記の一事が何よりも明確に示しているといえます。昭和64年(1989年)1月7日に崩御された昭和天皇が、闘病期に使われたベッドは、同社製だったのです。いまでも本社に同型のベッドが展示されています。

さて、そんな同社株のPEGレシオは投資家に、どう語りかけているのでしょうか。
本稿作成時のPEGレシオは、0・92。株価自体は年初来高値から2割近く調整が進んだ水準にあります。PEGレシオ:0・92株に出会ったわけですから、広く・深く同社を研究するべきと考えます。
これが成長株・中長期投資で資産を作ろうとする際の、PEGレシオの活用法です。

利益成長を続ける企業の株を、「1買い2やり」でなく中長期に腰を据え保有することが、株式投資で資産形成を可能にする方法です。そのためには、資産作りつながる(中・小型株を主体とした)成長企業の見極めが必要になります。
記してきたPEGレシオという物差しを活かし、資産形成株を掘り起こすことを是非お考えいただきたいと思います。


BY A・C

photo credit: Generationbass.com via photopin cc