教育費贈与の非課税制度が施行されて1年4か月が経過した。平成27年3月末現在、教育資金贈与信託の契約数は118,554件、信託財産設定額は8,030億円に達している(いずれも累計)。

また、平成27年1月から3月の新規契約数は16,688件、信託財産設定額は1,057億円となり、累計の内の13~14%を占めている。今年の4月から非課税の対象枠が広がったこともあり、相続対策や資産運用に関心のある世帯からの注目を集めている。

相続税増税の傾向が今後ますます強まると思われる中、資産移転の手段として活用する価値は十分にある。ただし、事前に制度内容を吟味することも必要だ。

1.教育費贈与の非課税措置ってそもそも何?

まず、教育費贈与の非課税措置についておさらいしよう。この制度は「教育費資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」といい、両親や祖父母などから30歳未満の子や孫となる直系卑属に対する教育資金を、一括贈与した場合、一定の要件を満たせば最大で1,500万円まで贈与税がかからないというものだ。非課税措置の対象となる教育資金の内容は次の通りである。

(1)学校等に対して直接支払われる教育費
・入学金・入園料、授業料、入学・入園のための検定料
・学校等での教育に必要な学用品代、修学旅行費、給食費など
・留学のための往復航空券代、通学定期代などの交通費(今年の4月から対象)

(2)学校等以外に対して直接支払われる教育費(塾や予備校、おけいこ事代など)
*ただし、(2)に関しては500万円が上限

なお、この非課税制度の対象となる教育費贈与については、信託銀行などに専用の口座を作ることが条件となる。

ここで注目したいのは、子どもが未就学児であっても贈与対象になるということだ。この制度の対象である「学校等」とは、小中学校や高校、大学(院)などだけでなく、幼稚園などの学校教育法で定められた学校や認定こども園、保育所なども含まれる。子供がまだ幼く、受験を考えている世帯にとっては嬉しい制度だと言えるだろう。