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(写真=PIXTA)


国内企業物価は前年比▲3%台へ下落

8月12日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2015年7月の国内企業物価は前年比▲3.0%(6月:同▲2.4%)と事前の市場予想(QUICK集計:前年比▲2.9%)を下回る結果となった(消費税除き:前年比▲2.9%)。前月比では▲0.2%(6月:同▲0.2%)と2ヵ月連続で下落した。夏季電力料金調整の適用により押し上げられた影響を除くと、前月比▲0.4%(6月:同▲0.2%)と下落幅が拡大している。

国内企業物価(*1)の前月比寄与度をみると、為替・海外市況連動型(前月比▲0.2%)が物価下落に寄与した。石油・石炭製品の伸び率(6月:前月比2.2%→7月:同▲2.1%)がマイナスとなったほか、非鉄金属(6月:前月比▲1.1%→7月:同▲3.1%)は下落幅を拡大したため、為替・海外市況連動型(6月:前月比1.1%→7月:同▲2.4%)は下落に転じている。

国内企業物価(消費税を除く)変化率の寄与度分解


輸入物価は原油安で3ヵ月ぶりにマイナス

7月の輸入物価(円ベース)は前年比▲7.1%(6月:同▲5.9%)と前月から下落幅が拡大した。前月比(円ベース)では▲1.5%(6月:同3.5%)と3ヵ月ぶりのマイナスとなった。

輸入物価(*2)の前月比寄与度をみてみると、石油・石炭・天然ガス(前月比▲0.5%)、金属・同製品(前月比▲0.7%)が物価下落に大きく寄与した。

6月の輸入物価は円安によって押し上げられた面が大きいが、7月は急激な原油価格下落による物価押し下げが円安効果を上回った形だ。また、金属・同製品のマイナス寄与は中国経済の減速などを背景に銅地金などが軟調だったことが影響しているとみられる。

足元の原油価格の下落は、企業のコスト低下を通じて収益の改善に寄与する。8月10日に内閣が公表した7月の景気ウォッチャー調査では、円安による原材料価格の上昇を懸念する声が多く見受けられたが、原油価格の下落が円安の悪影響をどの程度緩和するか見極めていく必要があるだろう。