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日本株は短期的に下げ過ぎ

突然の人民元切り下げに市場が大きく揺れていますが、昨日、本日の日本株の反応はやや行き過ぎなように思います。大方の投資家が想定していなかった人民元切り下げが行われたことで、中国経済(特に製造業)の深刻さが浮き彫りになり、却って狼狽売りを招く始末です。

確かに人民元切り下げによって、生産拠点として、中国と競合関係にある周辺のアジア諸国の通貨・株価は売りでしょう。さらに人民元切り下げによって取引が制限されているとは言うものの、ホットマネーが中国から流出する可能性があり、対円での人民元減価によって訪日観光客にも爆買いの魅力が薄まるのは事実でしょう。しかし、これらの事象が日本経済・日本株にとってどこまで大きな影響があると言われると、やはり過剰反応し過ぎなような気がします。

こうした背景には、周辺アジア諸国の金融資本市場は流動性が小さいので、自ずと日本株が、特に日経平均株価指数などの先物を売ってヘッジしようとする動きがあるように思います。

目先はアジア周辺国にとっては深刻な人民元切り下げのペースに歯止めがかかることが、日本株に対するヘッジ売りを止めさせることになるでしょう。その上で、中国景気指標に底入れの動きが出てくることが期待されますが、実際に景気指標が改善するのはもう少し先の話でしょう。

その前に「人民元を切り下げなければいけないほど経済が深刻なのか」という見方が、「人民元を切り下げたことで経済が底打ちしてくる」という見方に変わってくることが待たれます。足元で調整し過ぎの感がある鉄鋼や機械株などの中国関連株は、いったん大きくリバウンドするのではないでしょうか。

また、米国利上げ観測の高まりと共にドルに対するロング、コモディティに対するショートポジションが積み上がっています。9月18日のFOMC前後で最初の利上げを織り込めば、こうしたポジションもいったんはアンワインドされるでしょう。中国の状況、米国の状況を考えると9月18日より前のどこかで大きなリバウンドが来ると信じています。