2017年は世界金融危機?

一方、長い目でみると懸念は寧ろ大きくなりました。10年に1回のペースで周期的に世界的な金融危機が起こっていることは良く知られていると思います。

1987年のブラックマンデーにテキーラショック、1997年のアジア危機、2007年のサブプライムローン危機。いずれも基軸通貨国である米国の利上げが遠因になっています。

ブラックマンデーはインフレ抑制のために行われた急激な利上げが、アジア危機は1994年から1995年の利上げが、サブプライムローン危機は2004年から2006年の利上げが、対外資金によってファイナンスされていたエマージング諸国を中心に資産価格バブル崩壊につながりました。

固定相場制やドルペッグ制を採用していた新興国はその度に通貨攻撃によって大幅な通貨切り下げや変動相場制への移行を余儀なくされました。いずれの危機でも“無傷”だった中国は資本取引や為替取引の自由を規制していましたが、仮に中国が人民元切り下げを行えば特に近隣のアジア諸国への影響はさらに拡大していた可能性が高いと考えられます。

今回、中国が成長減速や周辺通貨の減価に追随する格好で通貨切り下げに動いたことで、米国利上げがもたらす新興国への悪影響を増幅する可能性があり、サブプライム危機からくしくも10年後の2017年にホットマネーが流入した中国や他の新興国で新たな危機の遠因になる可能性を秘めているかもしれません。

2017年は国内的にも困難が多い年になりそうです。

2016年9月の自民党総裁選、そして2016年7月の参院選後は安倍政権の関心が経済政策から益々離れていってしまう可能性があること、2018年4月の日銀総裁任期満了から半年から1年前には黒田総裁は出口に向けた地ならしをする必要があると考えること、そして2017年4月から消費税率引き上げがあるなどを考えると、日本株は2016年にピークを打つことになるのではないでしょうか。

また、2016年9月の米国大統領選で誰が勝利しても、米国経済の前途は厳しい感じがします。

丸山 俊 (まるやま しゅん)
BNPパリバ証券株式会社 日本株チーフストラテジスト

2001年、三和総合研究所に入社し調査部エコノミストとして日本経済の景気予測、マクロ分析を担当。その後、2005年にクレディ・スイス証券に入社し、計量リサーチや株式投資戦略を担当。2011年7月にBNPパリバ入社。

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